【読書008】大日本天狗党絵詞
「新装版 大日本天狗党絵詞」全3巻(黒田硫黄/講談社アフタヌーンKC)(参考:wiki「大日本天狗党絵詞」)
若くして天狗になることとなった女、シノブを主人公として展開する冒険譚。
ジャンルとしては現代ファンタジーもしくはサイエンスフィクション。
黒田硫黄さん(参考:wiki「黒田硫黄」)の連載デビュー作。
絵は下手ではない。むしろ上手い。
ただし、万人に受ける上手さではない。非常に取っ付きにくい絵でもあるのだ。
ダイナミックな作画および構図は、ほぼすべてが筆絵で描かれており、慣れるまでは少し読みにくい。
ただし、絵に慣れてさえしまえば、本当に引き込まれる作品である。
野望や欲望、憧憬、寂寥感等々、登場人物たちの我が絡み合って物語はすすんでいく。
作中、『人が、自分は人間ではなく天狗なのだと気付いた瞬間、人間は天狗になり、天狗は、自分が天狗なんかではないと気付いた瞬間にからすに戻る』シーンなどは哲学的でもある。
なんだかすごくアドレナリンの放出される漫画だった。
絵に拒絶反応を示さずに、一度読んで欲しい。