心ゆくまで崖っぷちで読む本

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【読書027】三陸海岸大津波

三陸海岸大津波」(吉村昭/文春文庫)

3月11日の東日本大震災以降、同作者の「関東大震災」(吉村昭/文春文庫)と並んで、本屋で平積みされるようになった文庫。

ずっと気になってはいたのですが、ブームが落ち着いたらブックオフに大量に流れるかなーと思ってしばし静観していた一冊。結局こらえきれずに買いましたけど。

三陸海岸で過去から繰り返し起こっている大津波について追ったドキュメンタリーで、明治29年と昭和8年の三陸海岸地震とそれに伴い発生した大津波、また昭和35年チリ地震に伴い生じた津波の被害について、体験者の証言や被災した小学生の作文などを交えて書かれている。

いったんは居住が禁止された海側の地域に、被災以降、利便さを求めてい戻っているのは興味深い。

山側の不便さと海側の利便さ。漁業が主要産業となっている点。

海側への居住が(今回の東日本大震災での被災も含めて)明らかに、莫大な津波被害がたびたび生じる一因であるのだが、「のど元過ぎれば熱さ忘れる」なのか。

三陸沖全般は、貧しい地域であった。このため、少しの利便性の差が生活に直結したのかもしれない。

行政側が「津波被害のあった地域への仮住宅を含む住宅建設を禁止」としたのに対して、漁業に従事していた住民は「元の場所への住宅建設を許可してほしい」と求めた。

いつ起こるかわからない津波のために、生活の利便性を捨てられない以上、このような被害は繰り返されるだろう。

禁止したところで、そこに居住を始める住民が出現し、町が発展し、津波が起こり、人が死ぬのが過去の事例であり今回の被害なのだ。

そう考えると落としどころは、どこなのか。

非常に難しい。

データも多くやや単調だけどドキュメンタリーとしてはこんなものかな。

文章自体に古くささはないが、ドキュメンタリーとしては表記形式などにちょっと古さを感じる。

娯楽要素はないので、興味関心を満たしたい方向き。

本書を読むと、三陸沖が、歴史的にも津波被害の多かった、大きかった場所であるのがわかる。

このような場所は三陸に限らず、日本各地にあるんだろうなぁ、と思いました。