心ゆくまで崖っぷちで読む本

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【読書029】海の底

海の底」(有川浩/メディアワークス)

今をときめく作家、有川浩さんの作品。別名「ザリガニの海」。

有川作品では陸海空軍三部作が一番面白いというコメントとともに借りたので読んでみた。

未確認生物が襲来し、襲ってくる前半はパニック映画的。

この前もちらっと書いたけど、最初は地球防衛軍みたいで胸が熱くなりました。

しかし、後半にいくに従って人間ドラマになってくる。

祭りに巨大生物が来襲し、逃げる途中で民間人、それも子供ばかりを潜水艦内に保護した海自の二人と、巨大生物到来の報告を受けて、対抗策を講じようとする警察側の視点で交互に語られる対ザリガニ戦線。

コメントが難しい。

海自と警察が内部と外部の象徴になって物語が進む割に、どこかでその二者が交差するわけではない。

最初に書いた通り、陸海空軍三部作とよばれ、海上自衛隊に焦点が当てられるように捉えられる作品であるはずなんだけど、戦うのは警察警備。海自っぽいのってそれこそ最初とラストだけじゃないだろうか。

潜水艦という密室が上手く活きていないし、子供側の人数設定が多い性でエピソードが多く、焦点がばらける。死、怪物、密室に閉じ込められるという危機的状況の割に、子供が落ち着きすぎていてリアリティが薄い。

巨大生物と戦う割に、巨大生物への恐怖が決定的火力を持たないことにしか由来しない感じも、なんだかなぁって感じ。

ラストは綺麗にまとめてはあるけど、なんとなく嘘くさくて腑に落ちない。

巨大生物を害虫駆除とか、その辺りの着眼点は面白いと思った。

宮部みゆきさんを読んだとき的な、上手さ、万人に受けそうな雰囲気は感じるのですが、個人的にはなーんか中途半端な印象。最大の要因はリアリティの欠如かなぁ。臨場感がない。

期待値が高かっただけに、そして最初は面白かっただけに、残念。

ところで、パニック小説というジャンルは無いんでしょうか。

とりあえず、「空の中」読むかね。