心ゆくまで崖っぷちで読む本

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【読書115】シュメル―人類最古の文明

シュメル―人類最古の文明」(小林登志子/中公新書/岡崎市立図書館所蔵)

 

先日紹介した「鉄を生みだした帝国―ヒッタイト発掘」に描かれたヒッタイト時代よりさらに前。メソポタミア都市国家を気づいたシュメル人について書かれた一冊。

 

五千~三千年前、古代メソポタミア南部に都市国家を築き、文字を発明し、農耕を行ったシュメル人。

発掘された遺物から見えてきたシュメル人の生活とは?文化とは?みたいな本。

 

ある程度知っていることを前提にかかれた基本書。悪い意味で、教科書的。

断定的に書かれているのだが、言葉の定義や断定の根拠が記載されていないことが多く、「何故?」を抱えて読むと、少しストレスがたまるかも。

基本的に不親切。

内容的には面白いし、語り口も悪くないで勿体無い。

 

せっかくの面白い内容に、不満ばかりでもアレなので、細切れだけど、引用を交えつつ感想。

 

>エジプト人の残した多くの物は「死の文化」に属する物である。(序章)

早速本筋とはそれるけど、ナイル川の恵みと安定した社会であった古代エジプトの人々が、来世での再生を信じたて、王墓であるピラミッドやミイラに代表される埋葬の文化は確かに「死の文化」であろう。

古代エジプトの他に「死の文化」にあたるものはなんだろうか?古墳とか?

 

>楽しくなること、それはビールである。いやなこと、それは(軍事)遠征である。(59ページ/シュメール人の諺)

とりあえず、酒好きな人たちだったらしい。

シュメル人の諺が何か所か掲載されているけど、この前の旅行で見た現在のトルコの人々とあまり変わらないなーという印象。

土地・気候が民族性を決定する一因であることはたぶん間違いない気がする。

 

>シュメルの彫刻師は物事を正確に描写していて、(65ページ)

ヒッタイトの人々の傾向としてかなり率直にありのままを文章に書く民族性だったようなことが、「鉄を生みだした帝国―ヒッタイト発掘」に書かれていたような気がするけど、ヒッタイトより前の時代に同じような地域にいたシュメル人もそうなのだろうか。

 

>シュメル人は「都市にすむ文明人」を自負し

都市と未開の地、文明人と未開の民といった感覚がこの時代既に成立している。

シュメル時代は農業が発達し、優れた技術書が書かれた一方で塩害に悩まされる。

塩害に対してナツメヤシを栽培するなど、耐塩性の強い作物という知見をもっていた彼らは、確かに文明人だと思う。

 

>シュメル人の社会では「やられたら、やりかえせ」式の「同害復讐法」は採用してなかった。

>傷害罪は賠償で償われるべき、(後略)

>ハンムラビ「法典」では(略)遊牧民社会の掟である「同害復讐法」が採用されている。

(162ページ/五章の「ウルンナンム法典」に関する部分より)

「ウルンナンム法典」は現存する最古の法典(正しくは法典的文書)らしい。

「ウルンナンム法典」の現代欧米的な罰則基準はなぜ途切れ、またどこに受け継がれていったのか。

一つの民族が滅びるとき、拡散し他の民族へ溶け込んでいった人々がいたはずであろうと思う。

シュメルの直後、シュメルを征服したアッカド。ハムラビ法典が書かれたバビロニアアッカドの次の時代と記憶しているけど…。

アッカド時代はどっちだったんだろうか。

 

文章を残せた人間の少なさもあり、実生活よりは政治、戦争、宗教に関する内容が多い。

個人的には第二章の『「ウルク出土の大杯」が表す豊穣の風景-努力の賜物』が興味深く、引用もその章からが多くなってしまった。

宗教政治よりは、実生活が気になる派。

 

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