心ゆくまで崖っぷちで読む本

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【読書133】おさがしの本は

おさがしの本は」(門井 慶喜/光文社文庫)

 

主人公の和久山は、図書館レファレンスカウンター勤務の堅物公務員。

短大生のレポート本探しに、思い出の本探し。研修名目の難題本探し。

図書館を舞台に繰り広げられる本探し短編連作集。

 

図書をキーに、事件が起こり、解決していくという意味では、"文学少女"シリーズに似ている。

ただ、文学少女における事件がいわゆる事件でちゃんとミステリの体裁をとっているのに対して、本書における事件は、日常の普通の出来事。結末も本が見つかるかどうかだけ。

図書館のリファレンスカウンターが舞台だから当たり前だけど、本探ししかしない。

 

他で書評を見ると「探書ミステリ」なんて書かれていて、広義ではミステリなんだろうけど、アリバイもトリックもないので、個人的にはミステリと呼ぶのはちょっと抵抗がある。

 

残念なのは本探しの推理部分が弱い。もう少し濃く書かれていると、もっと評価が上がったかなぁ。

あと、後半は図書館の存続問題的な話になってくる。この辺も好みが分かれるところだろう。

 

でも好きな人は好きだろうなぁ、と思った。

自分自身がそうなんだけど、"文学少女"的な要素は好きだけど、"文学少女"のラノベ感がちょっと苦手という方は楽しめると思う。

"文学少女"好きな方は、好きだろうと思う。

 

印象に残ったセリフを一つだけ。

本は酒とおなじだ。ほどほどにしないと体をむしばむ。むしろ本のほうが、たちが悪いかもしれないな。百升飲めば酒飲みは恥じるが、本読みは読んだぶんだけ誇り顔になる。(194ページ)

言いえて妙だ。自分も気を付けよう。

 

そして積み本が増えていく。