心ゆくまで崖っぷちで読む本

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【読書135】昆虫食入門

昆虫食入門」(内山昭一/平凡社新書)

 

うっすらとした"エビ風味"とでも言おうか。それが普通の虫の味(18ページ)

そうか。一般的な虫の味があるのか。そうか。

昆虫食が文化的に遠いものになっている自分にとって、なかなか衝撃的な一文だった。

 

表紙の後にカラー写真の口絵が8ページあり非常にインパクトがある。

前半は文化としての昆虫食や、日本国内における昆虫食の現状、「タイにおける食用昆虫の販売までのルート、価格が掲載されている。

実食の話や見た目の話も多く、昆虫が苦手な人間には少々辛い内容だ。

 

しかし、本書で読むべきは後半だ。

味に関する分析や試験の結果を述べた5章から、栄養や漢方の観点から昆虫の効能に触れた6章、さらには食糧生産の観点から書かれた7章にかけて、実に興味深い。

 

昆虫類が同じ節足動物であるエビ・カニなどの甲殻類と似たような味がする、というのは知識として知っていても、味覚センサーや評味試験の結果が掲載されていると、なるほどーと思ってしまう。

 

食糧生産の面から昆虫食の有益性を説くのは、昆虫食を広めようという立場から考えると非常に正しい。

近現代以前の日本でも、昆虫が貴重なタンパク源であったのは間違いないわけで。地域によっては今でも貴重なタンパク源であるわけで…。

 

筆者らが実際にシンポジウムや課外学習で講演、発表した内容とその反響にも触れており、昆虫食が食生活内にない現代日本人からの昆虫食がいかに思われているのかも面白い。

 

趣味の本ではなく、真面目に書かれた昆虫食の入門書であった。

 

ただ、昆虫食の有益性を理解しても、どんなにおいしさを強調されても、カミキリムシが食べてみたくは…、ならなかった。

 

私は虫は苦手。