心ゆくまで崖っぷちで読む本

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【読書144】シューリマン旅行記 清国・日本

シュリーマン旅行記 清国・日本」(著:ハインリッヒ・シュリーマン、訳:石井和子/講談社学術文庫)

 

「旅と病の三千年史」から旅繋がりで。

タイトル通り、トロイの木馬の発掘で有名なシュリーマンの清国・日本見聞録。旅行記だ。

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彼が世界漫遊の旅に出たのが1864年。その後清国で天津、北京、万里の長城を訪れたのち上海、そして1865年に日本へ。

日本から太平洋を横断して北米大陸に入るその船旅の間に書かれたという本書は、簡潔な文体でありながら、文化の違い、住民性の違い、目にした景色への感動が綴られており、シュリーマンその人が、冷静な目を持った人間だったことをうかがわせる。

 

内容も清国、日本での実体験が綴られており、雨が降っていたから雨具として鑿を借りたがびしょ濡れになったとか、日本人が懐から紙を出して使い捨てており、毎日同じハンカチを使う我らを不潔なもののように見ているとか、女性の識字率の高さや身分制度の実態、等々、シュリーマンから見た当時の日本、江戸の風習がうかがえて非常に面白い。

 

中でも興味深かったのは、浅草観音寺見物の感想を述べた一文。

日本の宗教について、これまで観察してきたことから、私は、民衆の生活の中に真の宗教心は浸透しておらず、また上流階級はむしろ懐疑的であるという確信を得た。ここでは宗教儀式と寺と民衆の娯楽とが奇妙な具合に混じり合っているのである。(141ページ)

大みそかに除夜の鐘を鳴らしにお寺に行き、正月は神社へ初詣、ついでにクリスマスも祝っちゃう日本人はこの時代からすでにらしい。

 

何よりも、日本に対して好意的に書かれているので意外なところで日本好きの外国人に会ったような、何とも言えない気分が味わえる一冊だった。