心ゆくまで崖っぷちで読む本

読む読む書く書く、時々考える(旧insolble)

【読書174】さがしもの

さがしもの」(角田光代/新潮文庫)

 

旅には本がつきものである。

 

意気揚々と一冊選び手提げ鞄に詰め込んだものの、1、2ページ読んだだけで、帰りはスーツケースの奥で折れ曲がろうとも、旅には本がつきものなのだ。

 

本書のテーマは旅の中の本。

そう思うのは、本書に収録されている最初の2編が旅の中の本を描いたものだったからだろうか。

残りの7編は直接的には旅と無関係な、日常のふとした瞬間の中の本が描かれているのだけど、人生の中で、日常の中で旅する感覚に近づく一瞬が切り取られているような気がした。

ともかく、本にまつわる短編9編と、あとがきエッセイの合計10編が収録されている。

 

同じ本なはずなのに、読むタイミングによって、印象が変わること。つまらないと思った本が、感動の名作に代わる瞬間。

うろ覚えの、少ない情報で、でもずっと本を探していること。

小さな紙の束が、遠い世界へ連れて行ってくれる感覚。(死にたくなったら本を100冊読めと行ったのは誰だっけ?)

 

一度は経験したことがありそうなエピソードに、作者は本が好きなのだなぁと思う。

本好きの方、旅好きな方、そして何より、旅の際には文庫本を持参する方にぜひ。

 

余談だけど、旅から帰ってきた後、一緒に旅をして1、2ページ読んだだけの本は、なぜか続きを読む気が起きないのはなぜだろうか?

 

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