心ゆくまで崖っぷちで読む本

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【読書181】インパラの朝

インパラの朝 ユーラシア・アフリカ大陸684日」(集英社/中村安希)

 

先日紹介した「食べる。中村安希さんの第一作目。

 

26歳女性のアジアからアフリカ、ヨーロッパへ至る47カ国、2年の旅。

予算は180万円。ヒッチハイク、安宿エトセトラ。いわゆるバックパックだ。

題材も内容的にも、紛うことなきバックパック旅本…であるはずなのだ。

 

しかし、なんだろう、この読後感は。

 

私の個人的見解だけど、バックパック旅本では、筆者の世界を見たいという思い旅したいという思い、何らかの使命感や義務感に旅の中で感じる違和感、国内では触れることない危険への恐怖感、そして異国だからこそ感じるあたたかさ等が加わっており、結果として熱をおびた作品となっている場合が多いように思っている。

 

内容的には現地の方々、あるいは同じバックパッカー仲間の触れ合いや旅中の苦労を書いており、読後感はエッセイやルポ、ドキュメンタリに近い。(食事や自転車などさらに付加的なテーマを持っている場合もあるだろう。)

 

一方で、本書は非常に散文的で、私小説、もっと言ってしまえば、旅本でもなんでもない、ただの小説、短編集のように感じた。

流れのある旅としてではなく、各シーンが細切れに語られ、流れを作っているはずの細部が切り落とされて、どこを旅しているのか、どの場所を描いているのかすら、小題に戻らないと分からなくなる。

加えて、淡泊で乾いた文章が、バックパック旅本としては独特の雰囲気、独特の読後感を醸し出している。

 

非常に悪い言い方になるが、先進国側からガラス越しに後進国を眺め、感想を述べている感じ。

なんとなくの放浪。バックパックなのに金持ちの道楽的旅行記の気配すらする。

先進国からのバックパックに、そういった一面があるのは間違いなく事実であろうが、その面ばかりが目立つというのも珍しい。

 

旅行記ではなく、私小説として読むのが正解な気がする一冊だ。

 

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