心ゆくまで崖っぷちで読む本

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【読書183】本当は怖い動物の子育て

本当は怖い動物の子育て」(竹内久美子/新潮新書)

 

野生動物にみる育児放棄、子殺し、兄弟殺しから、人間社会、パラグアイの先住民にはじまり、現代社会での虐待の原因までを動物行動学的見地から解説している一冊。

動物をメインで扱った前半と、人間社会に焦点をあてた後半で、だいぶ主旨が異なるように感じられるものの、内容は連続的に移行していくので、興味深く読ませていただいた。

 

付箋を貼りながら読んでいたら、付箋だらけになってしまったので、特に興味深かった点を挙げておく。

 

●スペアとしての双子、第二子卵の放棄について

以前、「タンパク質の一生」を読んだ際、「生物は精度の高いものを作るよりも精度が低くても大量に作って使わなかったものは分解してしまうという戦略を取る場合が多い。」というような内容があったが、一個体レベルでみても同じような戦略を取る場合があるということだろうか。

 

ツキノワグマの着床遅延について

交尾排卵(交尾の刺激により交尾後に排卵される)は知っていたけれど、着床遅延は初めて知った。

冬眠から目覚めて十分に栄養を補給した後の夏、交尾が行われるが、実際の出産は1月。着床が行われるのは11~12月頃になる。交尾後の栄養状況によって出産の可否を決定するというものだ。

生存戦略と片付けることは簡単だが、排卵から着床までという一連の流れを一つをとっても、実に多種多様だ。

 

●先住民社会における虐待と「精霊」について

社会が違えば倫理が異なる。

例えば不義の子として生まれた者、あるいは兄姉と齢の差が少なく生まれた者を「精霊」として社会に迎え入れることなく天に返すのは、非常に理にかなっているともいえるだろう。

全てを迎え入れた結果共倒れになるのは本末転倒であろう。

 

ステップファミリーと虐待について

現代社会で虐待が生じる要因の一つに「ステップ・ファミリー」が挙げられている。

多くの場合、虐待を実行するのは実親である。

加害者と被害者の関係を見ると、実に5割強が実父あるいは実母による虐待にあたり、残りの約4割が養父によるものである。

 

平成17年の国民生活白書によるとステップファミリーの率は2割弱。

ステップ・ファミリーの中で実父母が虐待加害者となる場合や、養父母が存在しない場合もあるので単純には比較できないと思うが、ステップファミリーにおける虐待の発生率は高いと言えるのだろう。

 

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