心ゆくまで崖っぷちで読む本

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【読書197】宴のあと

宴のあと」(三島由紀夫/新潮文庫)

 

本作の主人公である福沢かづは高級料亭「雪後庵」を一人で切り盛りする女将、いわゆる女傑として描かれている。保守党御用達の料亭の女将でありながら、50代にして革新党の野口雄賢に出会い、結婚する。

やがて野口が革新党から東京都知事選に立候補することを決めると、かづは良人を当選させるため、私財を投じて選挙活動に邁進するのである。

 

かづの情熱、俗っぽさと、野口の理想主義、清貧さ。

相反するものゆえに、惹かれあい、

選挙という泥臭い世界を共通の目標としながら、落選という大きな挫折を経て、その後の人生として袂を分かつ二人。

否、二人がもともといた世界に帰っていった結果、それが同じ世界ではなかっただけとも言える。

 

三島作品はコスチュームジュエリーのようだと思う。

荘厳華美でありながら、どこか作り物(フェイク)めいている。

煌びやかさの中に垣間見えるチープさとでも言おうか。

私は三島作品のそんなところが好きである。

 

日本国内では文学作品としてよりも、日本初の「プライバシーの侵害」裁判になったことで有名であろう。私が本作を知ったのも国語の教科書からではなく、社会の教科書からである。

国際的にも評価の高い作品であるだけに、残念である。

 

 

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