【読書210】スクリーミング・ブルー
「スクリーミング・ブルー」(藤木稟/集英社/岡崎市立図書館所蔵)
藤木稟作品が読みたくなって図書館で借りてきた一冊。
現代沖縄を舞台に、本土からの二人の刑事、久義とプロファイラー夏目が少女連続殺人事件を追うゴシックファンタジー
。
殺された少女らに共通の顔立ち。綺麗に取り除かれた内臓。皮膚に施された意味深なペイント。さらに揺蕩うハイビスカス。
呪術的な雰囲気多分に漂わせて、浮かぶ少女の屍体。
血液と内臓さえ取り除いておけば、腐敗はそう進まない。最初に腐敗を促進させるのは腸内細菌だ。血管を伝わって全身に広がり、組織を分解してしまう。次に、胃がその消化液で自家融解を始める。(8ページ)
推理小説的に始まりながら、沖縄の巫女、土着宗教、はてはボンベイシティのジャイナ教寺院などを巻き込んでオカルティックに移行していく様子は、さすが藤木さん。
だけど、推理小説とファンタジー小説のどちらの気持ちで読んだらいいのかは少し難しい。
反戦やアメリカ軍の基地問題なんかも絡んできて、その雑多さはある意味沖縄のリアルではあるのだろうけど、テーマが詰め込みすぎになっている印象が拭えない。
沖縄の方言が多くて、覚えきれないのも辛かった。
純粋にゴシックホラーとして、沖縄方言部分が例えば漢字にルビにて対応などの表記であったらだいぶ読みやすかった気がする。
読後の感じとしてはなとなくだけど恩田陸さんの「ネクロポリス」に近い。
いろいろ書いているけど、藤木作品が読みたかった気持ちは満たされた。