心ゆくまで崖っぷちで読む本

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【読書211】移民の宴 ー日本に移り住んだ外国人の不思議な食生活ー

移民の宴 日本に移り住んだ外国人の不思議な食生活」(高橋秀行/講談社/岡崎市立図書館所蔵)

 

2011年現在、日本には207万人の外国人が在留している。

日本国内にある外国人家庭は、国内に存在する異国とも言える。

本書はそんな在留外国人家庭の食事風景を取材したルポルタージュである。

食事エッセイとしては「(食)文化」寄りだろうか。

 

まずはタイ。千葉県成田市のタイ寺院の取材を通じて、そこに通う様々な普通のタイ人が持ち寄る食事を取り上げている。

 

筆者によると一番美味しいのはタイ料理だという。曰く、「どこで何を食べてもうまい。」と。

そんなこと言われたら、行きたくなってしまうじゃないか、タイ。せめていつもと違うタイ料理店を開拓するか...。

 

続いてイラン。厳格なイスラム国家として名高いイランだけど、知れば知るほど、適当国家の偏見が育つ国である。

イラン食材店「テヘランショップ」の店員さんの胸にゾロアスター教のシンボルペンダント。歌って踊るのが大好きで、帰省すれば酒を飲みながら朝まで踊り明かす。

厳格イスラム国家のイメージが瓦解するようなエピソード満載である。

 

イスラムはアラブの文化。イランにはイランの文化がある。」(63ページ)

とあるが、本当にそんな意識なんだろうなぁ。

お隣のトルコも現在イスラム化と近代化の狭間で揺れているが、実現したら垣間見るイランのようになりそうだ。

 

そしてあの東日本大震災。大災害を通して普段見れない外国人コミュニティの動きが書かれているのは稀有だと思う。

 

話は南三陸町のフィリピン人、神楽坂フレンチレストランで働くフランス人、モスクへ通うムスリム達に続き、沖縄系在日ブラジル人にいたっては最早日本人なのか外国人なのか...?

 

人は異国においてコミュニティを中心に集団を形成するが、そのベースとなるのは国自体ではなく、宗教であり、民族であり、あるいは食事である。国というものが異国のコミュニティにおいては後付けのものでしかないことを感じた。

 

語り口は軽やかだが、筆者の過去の経験と今回の取材内容がいい塩梅にミックスされていて、宴の背景にある文化を感じられる。良書と言っていいと思う。

日本の中にある異国の文化。

異国の中に当たり前にある異文化とは違う、和風(和製?)異文化を存分にお楽しみあれ。

 

***

 

どこかで書評を見かけて以来、ずっと気になっていた一冊だ。

先日、いつも行く最寄りの図書館ではなく本館に行ったら、そんな読みたい本が多数あってとても嬉しい。

ただ予約や取り寄せてまでして読むか、と言われると微妙なので時々は本館を利用したいなぁ。

 

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