心ゆくまで崖っぷちで読む本

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【読書224】八日目の蝉

八日目の蝉」(角田光代/中公文庫)

 

「自分の愚かな振る舞いを深く後悔するとともに、四年間、子育てという喜びを味わわせてもらったことを、秋山さんに感謝したい気持ちです」(346ページ)

不倫の末に堕胎、子供を産めなくなった女、希和子。

希和子の不倫相手と妻の子である恵理菜。

本書は希和子と、希和子に誘拐された恵理菜(薫)の逃亡劇である。

 

民家、宗教団体、小豆島。

小さな安息を挟みながら、追ってから逃れる日々。

誘拐犯と被害者という立場でありながら、そんなことは知らずに希和子を実の母として育つ薫。

 

そして、逃亡劇の終焉。

 

帰宅後の恵理菜を待ち受けていたのは、誘拐犯が与えてくれた家庭とは全く異なる、機能不全ともいえる家庭だった。

間違った関係性から与えられた愛情の方が、適切であったという皮肉。

正しい関係性から与えられる、どこか歪んで歪な愛情。

 

どちらが子にとって幸せだったんだろうか。

 

不倫を発端として、不義の子を身ごもることが主軸となりつつも、基本的に男性性の欠如した物語である。

主人公はどこまでも母子であり、母となること、母であることなのだ。

 

希和子と同じ道を辿りそうになる恵理菜。

母性とはなんだろうか。家族とはなんだろうか。

考えさせられる一冊だった。

 

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