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【読書228】震災・避難所生活と地域防災力―北茨城市大津町の記録

震災・避難所生活と地域防災力―北茨城市大津町の記録」(松村直道/東信堂)

 

茨城県北部、福島県との県境に位置する北茨城市

3月11日の東日本大震災の際には、茨城県内で最も被害が大きく、津波による死者は5名。福島第一原発からは70kmに位置しており、初期から線量計が設置された自治体でもある。

 

本書は、そんな北茨城市のなかでも特に津波の被害があった東部の港町、大津町における被災時の様子やその後を、被災者へのインタビューを中心に取りまとめたものである。

 

インタビューの対象はソーシャルワーカー、漁業従事者、民生委員、ホテル業などなど。

小さい町ながら様々な業種の方々が、それぞれの立場で、自分にできることを、と行動された様子が書かれている。

震災のわずか一ヶ月後から聞き取りを始めたというだけあって、それら証言からは落ち着かなさ、将来への不安感など、被災する、ということの生々しい現実が垣間見れる。

 

避難所となった大津小学校における献立の記録が大変興味深い。

物資が不足するなかで、少しでも温かいもの、元気の出るものをとの気遣いが感じられる。

町内の商店や個人宅からはじまった支援物資が近隣の個人、団体へと広がっていくこと、

 

被災時の現実、という意味で大変参考になる一冊であった。

 

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