心ゆくまで崖っぷちで読む本

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【読書234】おちくぼ姫

おちくぼ姫」(田辺聖子/角川文庫)

 

実母に先立たれ、父の屋敷で継母に苛められ、異母兄弟たちと差別されて、日々針仕事に精を出す姫、落窪。

落窪に仕える女房の阿漕とその夫で少納言の帯刀惟成。

今をときめくエリート、家柄も申し分なく出世街道まっしぐらのイケメン少納言

四人を主軸に、落窪の姫が少納言の妻となるまでのサクセスストーリー。

「千年むかしの、シンデレラ物語」というのもうなづける。ただし、シンデレラよりもハッピーエンドだ。

軽い読み口で、古典物でありながら、サクサク楽しく読めた。古典が授業にあった頃に読んでいたらなぁ。

 

物語の魅力は、なんと言っても登場人物たちのエネルギッシュさだろうか。

惟成に当時の常識とは異なる純愛を要求し、そのくせツンツンしている阿漕はすごく可愛いと思うし、四の君は愛する人と結ばれるために結構頑張ったよね。

完璧超人のイケメン優男のくせに、糞まみれになったり、中納言の北の方に仕返ししたくて意地悪仕掛ける少納言は、なんだか人間味があっていい。

娘のことがわからなくて本妻の口車に乗せられちゃったり、すれ違っちゃったりする中納言の爺さんも結構好きだったりする。

 

主人公の落窪の姫は、美しくて針仕事が上手で、不幸な身の上で、でも少納言に見初められ、阿漕に助けてもらって、姑にも気に入られて、少納言の嫌がらせは諌めちゃう。

非の打ち所がないお姫様。

あまりに「良い子」すぎて、エネルギー溢れる登場人物たちの中で落窪の姫だけが、不思議とその名前の通り、落ち窪んで見える。

 

ああ、しかし。

戦いもせずに幸せを享受するのは、お姫様なんだなぁ。

 

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