心ゆくまで崖っぷちで読む本

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【読書250】パピヨン

パピヨン」(田口ランディ/角川学芸出版/ひたちなか市立図書館書蔵)

 

すごく久しぶりの田口ランディさん作品。

 

スイス生まれの異端の精神科医、エリザベス・キューブラー・ロス終末医療の先駆者でありながら、霊的な思想家であったため、医科学の世界を追われた人物である。

ロスのみた蝶を追う、という思考文が本書の半分の柱。

 

そしてもう半分は実父を看取ること。

 

実父の骨折をきっかけに発覚した癌。すでに肝臓への転移が見られ、医師から宣告された余命はわずか半年。

アルコール依存症でもある実父は、アルコールの解脱症状が激しく、整形外科を強制退院になってしまう。

癌、アル中、骨折、そして精神錯乱。専門病院でも総合病院でも断られ、どうにか精神病院へ転院、小康状態に落ち着くも癌の進行は止まらず。本人への告知、そして最期はホスピスへ。

 

軽く文章にまとめただけでも壮絶である。これがわずか半年の出来事なのだ。わが身に降りかかったら修羅場としか言いようがない。

 

骨折をきっかけに癌が発覚したこと。

アルコールの解脱症状により整形外科を強制退院になったこと。

最期の時をホスピスで迎え、看取る側も看取られる側もある程度の納得を得られたようなラストシーンだからだろうか。ネガティブな状況ばかりなのに、巡り合わせの妙を感じてしまう。

 

ロスの部分は除いて、純粋に父を看取る話として読みたかった。

私の嗜好の問題もあるんだけど、父を看取るという終末医療に関わるテーマと、ロスに思いをはせつつ死を把握するテーマがなんとなく絡んでいなくて、後者がうまく飲み込めない。

 

終末医療に関する部分は、万人に勧められる可能性も感じるだけに、非常にもったいない。

 

そもそも田口さんの作品は日常にスピリチュアルが融合しているイメージがある。本作でもスピリチュアルな部分は重く健在だった。

実は私、オカルトなら大好きなのだけど、スピリチュアルな話は苦手。

なんとなく田口さんの作品から遠ざかっていたのはそんな自分の嗜好に気づいたから。久しぶりに読んでもやっぱりスピリチュアル部分がネックになってしまった。

 

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