心ゆくまで崖っぷちで読む本

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【読書263】群青

群青」(宮木あや子/小学館/ひたちなか市立図書館所蔵)

 

ピアニストの由起子は病気療養のために訪れた島で漁師の龍二と出会い恋に落ちる…。

やがて女の子を身ごもり、だが、病のために父子を遺して帰らぬ人となった。

龍二と涼子、二人の親子をベースに、島での生活、涼子の成長を描いた物語だ。

 

南国ならではのあけっぴろげな感じと、表裏一体の濃密な人間関係。全体に漂う濃い空気は息苦しさを感じる。

恋に落ちた由起子と龍二。その娘の涼子と幼馴染の一也と大介。

少年少女は大人になって、喪失、そして再生する。

実にオーソドックスなストーリーである。

 

龍二が、涼子が、一也が、そして最後は大介が、現実を捕まえるために、現実から逃げるように、群青の海に沈んでいく。

心身共に感じる息苦しさの中に一点の赤。

それは珊瑚であり、血であり、時には赤子である。いずれにしても、赤は激しく、静かな濃い青とのコントラストが美しい。

 

龍二も涼子も大介も、そして由起子や一也も、島に囚われて抜け出すことはできない。

全てが、島の濃さに溶けていく。

 

個人的に死を立脚点にした話は好きでは無い。人が死ねば悲しい、というのは事実であるのだが、物語としては安直すぎると思う。

そういう意味でも、宮木あや子さんの作品としては完全に期待外れであった。

 

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