心ゆくまで崖っぷちで読む本

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【読書268】自分の体で実験したい―命がけの科学者列伝

自分の体で実験したい―命がけの科学者列伝」(/紀伊國屋書店/ひたちなか市立図書館所蔵)

 

使命感、知的好奇心、自分への挑戦…などなど。動機は様々なれど、なにかに突き動かされて己の身体で実験し始める人々がいる。

患者の血液を接種して死に至った医師、笑気ガスから医療麻酔が開発され、航空医学の実験からシートベルトの安全性が高まる。名声を得た者がいた一方で、世間に認められることなく、生涯を終えるもの、実験によって命を落とした者もいた。

科学の名の下に、自分を使った人体実験に挑んで行く。

 

「その後の発見」が記載されているのも面白かった。なるほど、と思うこともあれば、えーっ?と意外に思うこともある。

 

一番インパクトがあったのは消化の仕組みを解明するため、排泄物されたサンプルを食べ続けた男だろうか。名前はラザロ・スパランツァーニ。1770年イタリアの科学者である。

体から出てきたものを味わったり嗅いだりするー少なくとも食欲がうせることだけは間違いない。(31ページ)

そりゃ、そうだ!としか言えない。

しかし、袋や木筒にはいったものを食べ続けることで、胃液を吐きまくることで、彼は消化が化学的なプロセスであることを突き止めるのである。

 

原書は小学校中学年から中学生向けに書かれたようだ。子供が読んでも楽しそうな、伝記物ではない科学者を描いた本である。

訳者のあとがきにはそれをあまり意識せずに翻訳した旨が書かれている。実際、小学生が読むには少し難しい気がした。

 

最後にひとつー良い子はけっしてまねしないように。(206ページ)