心ゆくまで崖っぷちで読む本

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【読書270】おとぎ話の生物学

おとぎ話の生物学―森のキノコはなぜ水玉模様なのか?」(蓮実香佑/PHP研究所/ひたちなか市立図書館書蔵)

 

 

かちかち山や桃太郎、白雪姫…。おとぎ話の世界には、現代の常識でははてなマークが浮かんでしまうような設定があふれている。寿命を閉じ込めた玉手箱に、ファンシーな森に欠かせない水玉模様の巨大きのこ。なぜ亀は泣いている話が多いのか。

そんなあれやこれやを、幼稚園児サッちゃんの「なぜなぜ?」をもとに紐解いてゆく。なんとなく空想科学読本的な読み物である。

 

タヌキの「化かし」話は、タヌキが驚いた時に見せる仮死状態に由来するのではないか、や、強い縄張り意識に由来するオオカミの「送り行為」と「送りオオカミ」という言葉、そしてオオカミの神格化など。

おとぎ話であっても、おはなしの背景には野生動物の行動や植物の成長があって、完全な創作ではない。よく見られる光景に理由をつけたり、よく見られる光景から連想したりしておはなしが出来ているというのは、とても興味深かった。

 

しかし、非常に残念なのだが一番印象に残ったのは、第十一夜で娘におはなしの続きを語らせるくだりであった。

NHK-Eテレの「みいつけた」という番組内に「おててえほん」というコーナーがある。手のひらを絵本に見立てて、幼児に自由におはなしを話させるという趣旨なのだが、奇想天外だったり妙に論理的だったりしてなかなか面白い。

この「おててえほん」を彷彿とさせるサッちゃんの壮大なおはなし。ちょっとそこだけ立ち読みしてみても楽しいかもしれない。