心ゆくまで崖っぷちで読む本

読む読む書く書く、時々考える(旧insolble)

【読書276】京都怪談 おじゃみ

京都怪談 おじゃみ」(神狛しず/メディアファクトリー/ひたちなか市立図書館書蔵)

 

 

表紙とタイトルから何故か妖怪物だと思い込んで借りてきたのだが、タイトルにもある通り、怪談物である。

舞台は京都、言葉も京都弁で語られるぞくりとする短編集である。

 

怪談物であるが、いわゆる怖い話ではなく、ちょっと不思議な話、なんとなく不条理な話もまざっている。古式ゆかしい怪談が収められた一冊である。

 

読み始めは正直、鼻についた京都弁が、読み終わるころには、恐怖を倍増させる舞台装置として効いてくる…。

現代劇であるはずなのに、とても古い物語を聞いているような、不思議な読後感であった。

 

印象に残っているのはやはり表題作の「おじゃみ」。

おじゃみに憑かれながらも、主人公の女はどこかコミカルだ。

夫を食われ、子を守るためにおじゃみを倒そうとするそのシーンは真剣そのものだ。

それなのに、後で思い返すと、人間側ではなく、おじゃみ側の存在であったような気がしてしまうのだ。

 

そして植物を蘇らせる手を持つ女。

自殺した男と隣人。

すぐ隣にある狂気のようだが、人間よりも妖怪に近い感じがする。

 

怪談物を読んだはずなのに、現実の妖怪をみせられた気分になった。