【読書299】魔女の宅急便5
「魔女の宅急便〈その5〉魔法のとまり木」 (角野栄子/福音館創作童話シリーズ)
トンボさんとの恋の行方、結婚式のヴェール、変わっていくジジ、そしてサヤオさん。
キキの物語はこれでおしまい。
長い長い思春期のトンネルを抜けて、最終話にふさわしい大円満、ハッピーエンドである。
結論ありきで書かれたかのように、全体的に恋愛情緒豊かな一冊だった。
印象的なシーンがある。
だれだって小さくっても魔法を一つもっているのよ。だから魔女のあなたがもっていないはずがないでしょっていうのですよ。すこしでもやってみたくなったんだったら、やらなくちゃって。でもそんな言葉を信じてはいけませんでした。信じたわたしは、あさはかでした。ママは親ばかでした。子供のほうは徹底的に小ばかでした。(26ページ)
キキが出会った小さな独り立ちしたばかりの魔女。ライちゃん。
飛ぶこともできず、魔女のスープをつくる彼女は、なんだかとってもチャーミングで、ずっとキキよりも大人な感じがする。
一巻のキキはまだライちゃんに近かった。一生懸命で精一杯せのびして。
残念ながら、3巻、4巻で植え付けられたキキへの不信感を拭い去るにはいたらず…。
どこでキキは、ライちゃんのような一生懸命さを失ってしまったのだろう。
ライちゃん主人公の物語が読みたい。