心ゆくまで崖っぷちで読む本

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【読書308】ゴーストハント5 鮮血の迷宮

ゴーストハント5 鮮血の迷宮」(小野不由美/ひたちなか市立図書館書蔵)

元首相の所有する屋敷で「謎の失踪者」が発生した。しかもそれを捜索にしにきたものの中からもさらなる失踪者が出ているという。

調査のためにSPRと集められたその他いつものメンバーが目にしたのは、歪な部屋、歪な配置、歪な間取りの溢れるそこはまさに歪な屋敷だった。

 

人の気配がにぎやかなせいだろうか。館物につきものの、おどろおどろしい雰囲気は無い。

前巻である「ゴーストハント4 死霊遊戯 」のような学校を舞台とした怪談では、霊の側が多数存在していた。しかし本書ではそれを祓う霊能力者の側が、十把一絡げ。二十人もいるのだ。

しかもそれらは、学校が舞台の時のようなモブ、名のない通行人ではない。

 

だが、本書を読むと、怖い、という感情にも色々な種類があることを知る。

 

そう、怖いのだ。

霊障や霊の気配と言った意味では他の巻に比べておとなしく、実際の被害もあくまで「失踪」であり加害や殺害ではない。

真砂子も激しい血の臭いを感じるくらいで警告を発するレベルじゃない。

なのに凄く怖い。

段数の会わない階段。隠し部屋。屋敷の中にある謎の空白。古いコートとなぞのメモ。なによりも異常なほど警戒するナル。

 

そして、ついに、調査にきたはずの霊能力者たちの中からも、失踪者が発生する。

 

恐怖の対象となったのは、歪な屋敷そのものではなく、姿を見せぬ浦和でもなく、その場所にあった過去。

そうまでして手に入れたかった「生」への執着。その妄執に賛同し、死した後も手足となって働く者。

「お化けを封じるため」に屋敷に改装を加え続け、廃れるに任せた当事者の恐怖はいかほどであったのだろうか。