【読書329】平和をまとった紳士たち
コンゴ民主共和国およびコンゴ共和国内の男性ファッション、サップ。
かつての宗主国、フランスの影響を多く受けて、ノリの効いたワイシャツに埃一つない革靴、鮮やかなブランドスーツを身にまとう平和の戦士。
ちょうどNHKのドキュメンタリーでサップを見にまとう人、サプールが取り上げられており、その気高さに感銘を受けて購入した一冊。
コンゴは二つある。旧ザイール、コンゴ紛争で悪名高い騒乱の国コンゴ民主共和国(以下、旧ザイール)と、内紛は経験したものの比較的落ち着いている隣国、コンゴ共和国(以下、コンゴ)である。
NHKのドキュメンタリーは後者におけるサップのみを取り上げていたのに対して、本作では旧ザイールでのサップについても言及されている。同じサップという言葉で呼ばれているがそのテイストは大きく異なる。
ブランドのスーツを着こなすコンゴ側は、まさに紳士然としているのに対して、旧ザイール側は大阪のおばちゃんというか、やや下品さを感じる。
とはいえ、悪名他界紛争地域の中で着飾ることの難しさは、コンゴの比ではあるまい。
番組を見たものにとっては焼き直しではあるのだが、静止画で際立つ美しさ、エレガントさを存分に満喫できる一冊である。