心ゆくまで崖っぷちで読む本

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【読書338】ワセダ三畳青春記

お久しぶりです。生きています。

ワセダ三畳青春記 (集英社文庫)

ワセダ三畳青春記 (集英社文庫)

 

ワセダにありながら家賃は激安の1万2千円。借り主の不在期間が長くても気にしないし、なんなら勝手にもう少し広い部屋へと引っ越しだってしてくれる。三畳一間という極狭アパート野々村荘に暮らした11年記。

月日が流れても、学生時代と何ら変わらず、辺境に通い、プールに通い、時々料理をして…、その日暮らしともいえる生活を送る彼。
彼の周りを多くのもの、ほとんどのものは去って行く。時に再訪しても、それは以前の彼らではない。
かつては共にあったはずのものたちと、彼を隔てる深い溝。

諸行無常、強者どもが夢の後。

貧しいということは、どういうことなんだろうか。
家賃が激安であったとしても、彼が経済的に豊かであったとは思えない。
だけど、本書を読む限り、彼の生活に貧しさを感じることはなかった。
チョウセンアサガオやウバタマサボテンでトリップを目指したり、テレビを求めてプロレスの普及活動にいそしんだり。

誰かが去って行っても、別の誰かがいる。

そんな極狭のアパートに突如現れた恋、彼が野々村荘を出て行く恋が、急にファンタジーで、すばらしい。
辺境ライターである高野さんのバックボーンを垣間見た気がした。