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【読書339】校閲ガール アラモード

 図書館本から宮木あや子さん。

校閲ガール ア・ラ・モード

校閲ガール ア・ラ・モード

 

 

前作「校閲ガール」の主人公、オシャカワこと河野悦子の周辺人物を主人公にしたスピンオフ短編集。

校閲ガール

校閲ガール

 

 宮木あや子さんの作品は非常に軽く読めて重宝しているのだが、前作の登場人物を忘れきった状態で読むには、結構つらかった。思い出した頃には話が終わってしまうので、ずっとわからないまま進む感じ。
せめて登場人物一覧を巻頭につけて欲しい。

加えて、本作の主人公は男性が多い。
前作は、河野悦子の女子っぷりに妙なリアリティを感じたけれど、本作は男性が多いせいか、話に入り込めないまま終わってしまった。

たとえば、部長エリンギの過去は、死を持って完結する悲恋として作られた悲恋だ。
本人のブログをみると、本作はアラフィフ文系男性の理想を具現化してみた、というスタンスなのだろう。(筆者の調査によると、アラフィフ文系男性は清楚でわがままな女に振り回されながら支配したいらしい。)

だけど、あまりに都合のよい話だな、と思う。
情緒不安定な女に振り回された男と、かつての面影を残したまま病みついた女が偶然にも生前に再会し、だが女は美しいまま死ぬ。女の余命が1年あったら、成り立たない話である。
女には思い出を現在として美化させられるぎりぎりの時間だけがあり、彼にはセンチメンタルになることを許す環境がある。
残念ながら私には、感傷におぼれる中年を愛でる趣味はない。
ベタベタなストーリーをエンターテイメントとして完結させるには、やはり鋭い感性や、技巧の上手さがいる。


女性のお仕事物語、は筆者にとってはもう一本の柱なのだと思う。筆者の女性のお仕事物語の結末は、大円満だったと感じることが多いように思う。
大円満は「登場人物たちが一生懸命努力してきた結果」と言えるかもしれないが、これは「おはなし」だから、それだけでは面白くない。

「雨の塔」のような耽美的な作品はもう書かれないのかなぁ、と思うと非常に残念である。
同じように女性のお仕事物語でも、「セレモニー黒真珠」にはまだあった湿った空気を是非また、と思う。

 

過去の感想はこちら↓。

insolble.hatenablog.jp