心ゆくまで崖っぷちで読む本

多読してTOEIC430点から630点→700点を目指すブログ

小説

【読書264】泥ぞつもりて

「泥(こひ)ぞつもりて」(宮木あや子/文藝春秋/ひたちなか市立図書館所蔵) 清和、陽成、そして宇多…。平安時代前期、三人の天子の影にあった後宮の女たち。 そこに藤原家の思惑も絡み合って、濃密な時の流れる愛憎劇である。 短編形式でまとめられているが、…

【読書256】ガラシャ

「ガラシャ」(宮木あや子/新潮社/ひたちなか市立図書館書蔵) 細川ガラシャ。戦国時代から安土桃山時代にかけてのキリシタンとして著名な人物であるが、本書は細川ガラシャ、というよりは、明智玉子の物語である。キリスト教徒であった彼女、ではなく、彼女の…

【読書250】パピヨン

「パピヨン」(田口ランディ/角川学芸出版/ひたちなか市立図書館書蔵) すごく久しぶりの田口ランディさん作品。 スイス生まれの異端の精神科医、エリザベス・キューブラー・ロス。終末医療の先駆者でありながら、霊的な思想家であったため、医科学の世界を追…

【読書245】パンデミック新時代

パンデミック。病害の世界的な流行を指し、爆発的感染、とも訳される。 エボラ出血熱の感染者が過去最大となり、アフリカ以外の国で感染者が見つかるなど、ちょうど「パンデミック」はホットなキーワードとなっているようだ。 本書ではパンデミックをキーワ…

【読書243】校閲ガール

「校閲ガール」(宮木あや子/KADOKAWAメディアファクトリー/図書館) 久しぶりに宮木あや子さん作品。 タイトルの通り、主人公の河野悦子は出版社で校閲の仕事をする校閲ガール。ファッション紙をこよなく愛し、ファッション紙編集部への異動を夢見ながら、ひ…

【読書224】八日目の蝉

「八日目の蝉」(角田光代/中公文庫) 「自分の愚かな振る舞いを深く後悔するとともに、四年間、子育てという喜びを味わわせてもらったことを、秋山さんに感謝したい気持ちです」(346ページ) 不倫の末に堕胎、子供を産めなくなった女、希和子。 希和子の不倫…

【読書222】少女ポリアンナ

「新訳 少女ポリアンナ」(エレナ・ポーター/角川文庫) 「嬢さんは何でも苦労なしに嬉しくなれるみたいよね」 ナンシーは一言い返しながらも、何もない屋根裏の小部屋を見た時の、ポリアンナの勇敢な態度を思い出し、胸が詰まりそうだった。 ポリアンナは低…

【読書210】スクリーミング・ブルー

「スクリーミング・ブルー」(藤木稟/集英社/岡崎市立図書館所蔵) 藤木稟作品が読みたくなって図書館で借りてきた一冊。 現代沖縄を舞台に、本土からの二人の刑事、久義とプロファイラー夏目が少女連続殺人事件を追うゴシックファンタジー 。 殺された少女ら…

【読書209】チーム・バチスタの栄光

「チーム・バチスタの栄光」(海堂尊/宝島社) 今更ながらに大人気医療ミステリ。各所のレビューでの評点も高く、期待して読んでみた。 うーん…。大人気作品なんだよね。 個人的にはミステリじゃなくサスペンスとして読みたかった。いっそサイコホラー。 前半…

【読書208】今日もごちそうさまでした

「今日もごちそうさまでした」(角田光代/アスペクト/岡崎市立図書館所蔵) タイトル通り食にまつわるエッセイ集である。 一言に「食」と言っても、「食事」にまつわるもの、「食文化」にまつわるもの、「調理」「料理」にまつわるものなど実に様々で同じ「食…

【読書191】ペンギンの憂鬱

「ペンギンの憂鬱」(アンドレイ・クルコフ/新潮クレスト・ブックス) ウクライナの首都キエフ。 ガールフレンドに出て行かれた売れない小説家のヴィクトルは、潰れかけた動物園から皇帝ペンギンを貰い受ける。 新聞社の編集長に依頼されたのは、得た仕事は死…

【読書189】てるてるあした

「てるてるあした」(加納朋子/幻冬舎文庫) 中高生向け現代ファンタジー。 高校受験が終わり、中学校を卒業して高校入学間際の春休み。 両親の夜逃げにより、高校へは進学できなくなり、遠い親戚だという「鈴木さん」を頼って、佐々良にやってきた照代。 居候…

【読書188】こちらあみ子

「こちらあみ子」(今村夏子/筑摩書房) 果たしてどう読むのが正解なんだろうか。 本書には表題作の「こちらあみ子」と「ピクニック」の二作が収録されている。 主人公あみ子が初恋ののり君に殴られて、歯を失うまでが、彼女の視点で書かれている。 発達障害、…

【読書174】さがしもの

「さがしもの」(角田光代/新潮文庫) 旅には本がつきものである。 意気揚々と一冊選び手提げ鞄に詰め込んだものの、1、2ページ読んだだけで、帰りはスーツケースの奥で折れ曲がろうとも、旅には本がつきものなのだ。 本書のテーマは旅の中の本。 そう思うのは…

【読書170】死ねばいいのに

「文庫版 死ねばいいのに」(京極夏彦/講談社文庫/同僚より借受) 死んでしまった女アサミの事を、関係者に尋ね歩く無礼な若者ケンヤ。 ケンヤと関係者との対話形式で話が進む。 ジャンルとしてはサスペンスなのかなぁ。 「オレ、バカなんでほんとわかんないん…

【読書167】野良女

「野良女 」(宮木あや子/光文社文庫) アマゾンを見ると「アラサー女子の心の叫びが云々」と書かれているけど、違うんだ。 28歳から30歳。微妙なお年頃のアラサー女子たちの仕事模様恋模様。「等身大のアラサー女子達」が描かれているように感じた。 結果、エ…

【読書164】今日のごちそう

「今日のごちそう」(橋本紡/講談社/岡崎市立図書館所蔵) 豪華な晩餐、普通の食事、作り置きカレーのアレンジ。食を舞台に繰り広げられる日常のショートショート集。 AMAZONの商品説明には「誰にでもある、ごくふつうの日の料理の風景を繊細に丁寧に切り取っ…

【読書152】魚舟・獣舟

「魚舟・獣舟」(上田早夕里/光文社文庫) 表題作の「魚舟・獣舟」をはじめとして、6編が収録されたSF短編集。 幾つか印象に残ったものだけ。 「魚舟・獣舟」 所謂現代世界が崩壊した後の世界、陸地の多くは海に沈み、海には海上民が住まう。 どのような環境に…

【読書102】学園大奥

「学園大奥」(宮木あや子/実業之日本社文庫) 猛勉強の末、入学した憧れの「丸の内学園」。 女子高だと信じていたその学校は、いつの間にか共学化していた! 生徒会組織、通称「大奥」。女の園にわずか2人の美少年。内部生の選民思想。 コメディタッチの少女…

【読書101】ハイスクール歌劇団 男組

「ハイスクール歌劇団 男組」(米原弘樹/幻冬舎文庫) とある男子校で文化祭に向けて結成された「青葉台歌劇団男組」。 受験生まっただ中、男ばかりの宝塚上演を目指して練習に励む青春小説。 辻かわいいよ辻。ある意味萌え小説なんだろうか。 みんな若者で高…

【読書100】セレモニー黒真珠

「文庫 セレモニー黒真珠」(宮木あや子/MF文庫ダ・ヴィンチ) 「花宵道中」に続き、宮木さん二冊目。 葬儀屋「セレモニー黒真珠」の社員3名を主軸に、人の死後、葬儀を通じて垣間見る人間関係を描いた連作集。 文句なしに面白かった。 登場人物たちは各自重い…

【読書099】たぶらかし

「たぶらかし」(安田 依央/集英社文庫) 主人公は冬堂マキ、もうすぐ40歳。 嫌な仕事、嫌なイベント。そんな時誰もが一度は妄想しそうな「誰か代わりになってくれたら…」。 そんな気持ちをかなえる会社、「ORコーポレーション」に所属する役者だ。 日常生活に…

【読書098】グリーン・レクイエム

「グリーン・レクイエム」(新井素子/講談社文庫) 新井素子さん二冊目。 三作の短編集。 まずは表題作の「グリーン・レクイエム」。 かつていた著名な植物学者。 かつて破たんのきっかけとなった弟子である研究者。 かつて少女に遭った学生の青年。 少女が悲…

【読書096】【読書097】呪われた町<上><下>

「呪われた町 (上)」「呪われた町 (下) 」(スティーブン・キング/集英社文庫) アメリカの田舎町「セイラムズ・ロット」に立ち寄った小説家の青年。 地元では有名なお化け屋敷「マーステン館」への奇妙な転入者。 やがて連続する死者、消える死体、徘徊する亡…

【読書095】鬼談百景

「鬼談百景 」(小野不由美/幽BOOKS) 先日紹介した「残穢」と同時発売の、怪談集。 百の怖い物語を集めた、いわゆる耳袋的な一冊。 小野不由美さんの淡々とした語り口のせいか、不思議と怖くない。 非常に淡々とした感じがむしろ物足りなく感じる人もいると思…

【読書094】残穢

「残穢」(小野不由美/新潮社) 追ううちにたどり着くドキュメンタリータッチの一冊。 リング系のホラー。

【読書089】高熱隧道

「高熱隧道」(吉村昭/新潮文庫) 黒部第三発電所建設のため、水路トンネル及び欅平駅~軌道トンネルの開通を目指す現場を描いた一冊。 資材運搬中の転落死にはじまり、岩盤温度はセ氏150度を超える灼熱地獄、宿舎を襲う大雪崩。無残に死んでゆく人夫たち。 国…

【読書079】魔神航路

「魔神航路」(仁木英之/PHP文芸文庫) 「僕僕先生」シリーズ以来、注目している仁木さんの作品。 系統的には僕僕先生よりも、「千里伝」のほうが近い。 夏休み、主人公の信之は、故郷の海辺の町に戻ってくる。故郷の町をでて半年。旧友たちとの再会と、海遊び…

【読書077】【読書078】Another(上)(下)

Another (上) Another (角川文庫) 作者:綾辻 行人 発売日: 2012/09/01 メディア: Kindle版 Another (下) Another (角川文庫) 作者:綾辻 行人 発売日: 2012/09/01 メディア: Kindle版 サスペンスホラー。間違ってもミステリではない。 主人…

【読書076】おしまいの日

「おしまいの日」>(新井素子/中公文庫) ずっと読んでみたかった新井さんの本。 多忙な夫忠春と、依存心の強い妻三津子。結婚七年目。夫は一流企業の出世頭。都内に一戸建ての借家を借りて、夫婦仲はよく幸せなはずな家庭。 三津子の体調の変化をきっかけとし…