心ゆくまで崖っぷちで読む本

中小企業診断士(登録予定)の読書ブログ

【読書077】【読書078】Another(上)(下)

 

Another (上) Another (角川文庫)

Another (上) Another (角川文庫)

 
Another (下) Another (角川文庫)

Another (下) Another (角川文庫)

 

サスペンスホラー。間違ってもミステリではない。

 

主人公榊原恒一が転入することになった夜見山北中学。

転入先の3年3組はある現象の影響下にあった。

いわく、4月になるとクラスの構成員が一人増える。そして、一人増えたその年、そのクラスの構成員又は二親等以内の関係者に次々と死亡者が発生するのだ、と。

 

何も知らずに転入した恒一がクラスメイト達に感じる微妙な違和感、見崎鳴との出会いはまさにサスペンス。

後半で恒一たちが再度発見する死者の発生を止める方法も、状況によっては別の惨劇を招いてしまいそうな感じでゾクゾクするような怖さがある。

 

下巻へ向けて、付箋を散りばめられたような上巻と、付箋が回収されていく様子は一種のエクスタシーだよ。

読み始めたら上下巻を一気に読んでしまった。

下巻の半ばは怪談的で結構怖い。

 

根本解決にはなっていないので、ミステリではないと思う。

復活する死者という意味で、設定は恩田陸さんの「ネクロポリス」を思い出した。

 

次年度以降の夜見山北中学三年三組がどのような経緯を歩むのか。

続編を買ったのでこちらも再読した。

 

恒一のこの妄想は、続編を読んだ後の自分の妄想に近いかもしれない。

たとえば──と、ぼくはいささか子供じみた想像をしてみたりもするのだ。この三年三組の教室では今、鳴とぼくがどんな行動を取ろうが、どんな話をしようが、誰にも口出しはできない。みんながみんな、見ないふり、聞こえないふりをしなければならない。仮に鳴がある日、髪の毛を極彩色に染めてきたとしても。ぼくが授業中、いきなり歌を歌いだしたとしても、机の上で逆立ちをしたとしても。たとえぼくたちが、大声で銀行襲撃の計画を話し合っていたとしても。──それでもみんなは見えないふり、聞こえないふりをしつづけるんだろう。もしも今ここで、ぼくたちが恋人同士みたいに抱き合ったとしても……って。

 

 

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