心ゆくまで崖っぷちで読む本

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【読書118】太陽の庭

太陽の庭」(宮木あや子/集英社/岡崎市立図書館所蔵)

 

憧憬☆カトマンズ」が「セレモニー黒真珠」とのリンクなら、本作は「雨の塔」とのリンク。

タイトルもなんとなく「雨の塔」とリンクしているように思える。

 

「永代院」。

都心の真ん中にありながら、なぜかたどり着けない場所。

日本の政財界から密かに「神」と崇め奉られる存在「永代院」。

戸籍もなく教育も受けず、永代院という閉鎖空間の中で生まれ、死んでいく子供たち。次の「神」になる子供たち。

 

白い子供を見た少年が、永代院になるために訪れた時の流れのない場所。

永代院の中で育った少女が、永代院から移り住んだ雨の塔の学園での物語。

永代院を殺し、狂った男。

正当な権利がないのに、永代院になった少年。

そして迎える永代院の最後。

 

作中、「永代院」の秘密を追う記者によって、「雨の塔」の学園の存在が開かされる。

「雨の塔」の、想像の余地がたっぷりとある舞台背景が好きで、明るみにさらされることは興ざめだという人は読まないほうが吉。

内容的にも「雨の塔」よりも更に一歩マニアックで好みが分かれてしまいそう。

 

放火と踊り狂うのラストシーンなんかはオカルトじみていて凄い良い。

ループ物の、ループが切れる時を思わせる。

 

作家読みをあまりしなくなった昨今だけど、宮木あや子さんは好きだ。今のところはずれがない。

 

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