心ゆくまで崖っぷちで読む本

中小企業診断士(登録予定)の読書ブログ

【読書196】NATIONAL GEOGRAPHIC 日本版 2013年 10月号

NATIONAL GEOGRAPHIC 日本版 2013年 10月号

 

読まないうちに次の号が届く、定期購読最大の罠にはまりかけているので、11月号が届く前に記録しておこう。

「写真の力」をキーワードに写真の持つ影響力を「WITNESS」、「PROVE」、「RELATE」など6テーマが特集されている。

 

デジタルで変わる写真の世界

一部のお金持ち、趣味人の持ち物だった「カメラ」が広く一般に使用されるようになった現代。

一般人ばかりでなく、プロのジャーナリストですらスマートフォンを用いて写真を撮影し、共有し、世界中に発信するようになった。

市民ジャーナリストが受け入れられるにつれ、プロとしての規範も変わりつつあるようだ。(略)現在の写真は、見た目にはわからないように加工され、現実を“より良く”見せる作品に仕立てられる。(略)ただ、そもそも写真とは案外、主観的なものである。(184ページ)

事実をありのままに伝えるのではなく、どのように見せたいか。見せたいように撮影し、加工し、公開する。

それ自体は写真的なというよりも、絵画的な発想のように思える。

 

記載されている言語が理解できなくても、写真や絵のように視覚的な媒体からであれば、言語に左右されずに情報が得られる。

しかし一方で、撮影者の見せたいように加工された情報であっても、それが写真であるがゆえに、真実であると思い込んでしまう危険性も感じる。

 

本書の冒頭に下記のように書いてある。

写真が誕生して間もない頃は、画像を加工することに「だます」意味合いはなく、一般の人々もそれを承知していた。(36ページ)

写真も絵画も一律に、作成者の意図がはいっていることを忘れてはならない。

 

[目撃する/WITNESS]暴力が支配するコンゴの鉱山

相次ぐ内乱に荒廃が続くコンゴ民主共和国

2010年7月21日アメリカで成立したドッド=フランク法では、紛争地域、即ちコンゴ民主共和国及び隣接国産の鉱物を使用している場合に、調達先情報の開示を規定している。

これにより製造業者及び加工業者に紛争鉱物の使用を自粛させ、最終的には紛争地域への外貨流入→武器購入の資金源を断つことを目的としているようだ。

 

対象となる鉱物はスズ、タンタルタングステン、金。

対象製品は携帯電話、PC、エンジン部品、デジカメ、プリンター、ゲーム機、補聴器、建設機械等、ということで、基板実装メーカーで調査業務を担当している私にとって、紛争鉱物(コンフリクト・ミネラル)は一時期、非常にホットな話題であった。(ちなみにコンフリクトミネラルの前はジブチルスズがホットであった。)

 

この調査、非常に大変である。

出荷製品に使用している「全ての部品」について調査を行い、最終的には製品情報に集約して客先に提出するのだが、下手したら客先は「過去から今に至り、うちに出荷している全ての製品が対象★ミ」なんて素敵なことを言ってくる。せめて製品名と期間を絞ってください。本当にお願いします。

基板実装屋だけあってうちの製品は1製品200~の部品が実装されているのだ。

すでに私は担当を外れているが、担当者は明らかに疲弊しているとの噂である。

 

紛争地の鉱物で最も利益を生むのは金だ。鉱物と紛争の結びつきを断つ取り組みが始まった2010年以降、スズやタングステンタンタルの違法取引による利益は65%減った。(72ページ)

弊社に負担を強いているこの法律にかかわる調査が、明確に効果を挙げているのであれば、少しは救われるというものだ。

 

 

 

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