【読書324】べにや長谷川商店の豆料理―海外編
ひよこ豆、レンズ豆、緑豆…、名前は聞いたことがある、どこかで食べているかもしれない世界の豆。
タイトルにもなっている「べにや長谷川商店」は北海道の在来豆類(地豆)を中心に販売している豆屋である。
豆類の紹介ページでは、世界で蒐集したという在来の豆やメジャーな豆の写真が記載されておりちょっとした豆図鑑のようでもある。
大豆の仲間、ササゲの仲間、インゲン豆の仲間といった植物学的な分類はもちろん、タンパク質の多い豆、炭水化物の多い豆といった成分上のグループの分類も記載されており、コンパクトながらかゆいところに手の届く一冊だ。
そして、もちろん地豆を使った豆料理とそのレシピも掲載されている。
味の想像がつきそうなものもつかないものもあるけれど、日本でイメージする豆料理とは少し違って面白い。
変わったところでは、「インジェラ」の作り方が掲載されていた。
旅人の間でその料理は'ゲロ雑巾'と呼ばれていた(中村安紀「食べる。」10ページ)
で有名な(?)エチオピアの伝統料理である。
レシピを見る限りは、そんなひどい味がしそうな感じはしないのだけど…、これは作って実食してみるべきか。
タンパク質や炭水化物といった成分上のグループであれば代替ができる、と記載があるけれど、実際の豆の大きさもあるだろうから、どの豆だったら代替可能かまで書いてほしかった。
単なる図鑑でもなく、単なるエッセイ集でもなく、単なるレシピ本でもない。
知的な好奇心と、食文化への欲求を同時に満たしてくれる良書であった。