心ゆくまで崖っぷちで読む本

中小企業診断士(登録予定)の読書ブログ

【読書333】「住宅ローンが払えない! 」と思ったら読む本

 住宅の購入予定があるわけではないのですが、住宅の取得に興味を持った今が勉強するチャンス、というわけで図書館で借りてきました。

「住宅ローンが払えない! 」と思ったら読む本

「住宅ローンが払えない! 」と思ったら読む本

 

本書によると、住宅ローンを払えなくなったときに自己破産や住宅の売却を避けるためのポイントはふたつあるという。

1.税金は絶対滞納してはいけない
一つは税金の延滞金は高利であり、自己破産後も免除にはならないということである。
もう一つ、自治体は強制執行権を持っている。このため、銀行など民間企業であれば裁判所を通さなければできない強制執行、いわゆる「差し押さえ」が、裁判所を通すことなくできてしまう。このため、税金の延滞は予告なく差し押さえという事態になりやすい。
「差し押さえ」となり競売による売却となると、売主に有利な売却(任意売却)をすることが難しくなる。
 
実際に、債務者の側からすると引き落としになっている銀行のローンよりも、払込用紙が郵送されてきて現金で払ったりする税金の方が滞納のハードルは低いような気がする。
 
税金の支払いを優先した結果、銀行ローンの支払いに回すお金が無くなってしまう、という場合もあるかもしれない。
 そんな時に備えて覚えておくべきことがふたつめのポイントである。
 
2.ローンを滞納するまえに、銀行に相談しよう
実はローンは組み替えたり返済額を変更することが可能である。
銀行側の立場に立って考えると、最優先は「完済してもらうこと」、そのうえで、貸付金額が大きく高利であるほど、そして貸付期間が長くなるほど、得られる利益は大きくなる。
逆に借主の立場では、借りる金額が大きく、高利で、借り入れている期間が長引くほどとられる利子の額が大きくなってしまう。「繰り上げ返済をして返済期間を短くしましょう」「頭金を多く入れて借入額を少なくしましょう」というのはこのためである。
 返済スケジュールを変更することで、結果的に利子として支払う額は多くなるかもしれない。しかし、家を手放さずにすむ=引っ越しをしなくて良いということは生活の安定を生むし、オーバーローン状態であれば売却しても借金は残ってしまう。家計の状態が改善する見込みがある場合や、返済額を減らせば十分に家を維持できるような場合には、家を所持し続ける方法についても検討するべきである。
 
この二点をふまえて、何より大切なのは、物件の評価額がローン残高を下回る、いわゆるオーバーローンにしないことであると感じた。いざとなれば売却でき、売却後に借金が残らない、というのは気持ちの上でもよい。このためには、頭金をできるだけ多く支払う必要がある。具体的には頭金として物件価格の半額程度は支払えるとよい、と本書にはあった。
 
住宅取得、というと、間取りや財テク、節約という観点になりがちであるが、いざ「払えなくなったらどうすればいいのか」という観点で書かれた本書は非常に勉強になった。一つ不満を言うとすれば、掲載されている具体例が、全体的に自業自得が感あるというか、避けようと思えば避けれたのではないか、と思える点である。逆に言えば、きちんと考えて手を打つことで避けられる破綻も多くあるということであろう。

また、本書では、ローンを焦げ付かせてしまう一番大きな原因は「景気の状態である」としているが、住宅ローンという非常に大きな借金を背負う場面では、景気の動向に左右されない、収入減少や環境の変化にも耐えうる家計計画を立てる必要があると感じた。