心ゆくまで崖っぷちで読む本

中小企業診断士(登録予定)の読書ブログ

【読書353】夜行

久々の森見さん。

 

夜行 (小学館文庫)

夜行 (小学館文庫)

 

 

 

ステイホームなゴールデンウィークなので、積読を消費しようの2冊目。

(1冊目はラノベだったので割愛。)

 

感想を一言で。怖い。

 

とても怖い。

大学生時代を京都で過ごした6人。久々に集まったのは鞍馬の火祭りだった。

彼らが10年前に同じように火祭りを訪れた際、長谷川さんは忽然と姿を消していた。

宿に集まりながら、その場を訪れるのを避けるように、誰からともなく語り始める不思議な話。どの話にも、早逝した銅版画家、岸田道夫の連作「夜行」があった。

 

此方側と彼方側の境目が曖昧になり生じる事象。

ずっと怖い気持ちで読んでいて、オチまで読んでやっぱり怖い。

ホラーなんだけど、単なるホラー小説ではない気がする。

怖い話ではなく、あくまでこちらとあちらの話で、岸田の作品を通して交わってしまった結果の「事象」。

 

「事象」と呼ぶのがふさわしい気がする。

世界線は幾重にも重なっていて。テレビのチャンネルを変えるように、層がずれた瞬間、別の世界に足を踏み入れてしまう。

あちらの、本来の世界線と異なる存在が、此方側での怪奇な事象になる。

さて、彼女らはどこに行ってしまったのだろう?

 

2冊目に読むものとしては、怖すぎた。