心ゆくまで崖っぷちで読む本

中小企業診断士(登録予定)の読書ブログ

【読書355】コン・ティキ号探検記

ゴールデンウィーク4冊目は読みかけて止まっていた探検記。

大洋の真っ只中にあるポリネシアの島々。遥か昔、人類はいかにして島々に到達したのだろうか。 人類のインカ(ペルー)からポリネシアへの移動を信じ、移動の再現を試みた男達がいた。 自作の筏の名前はコン・ティキ号。 メンバーの募集、材木の調達、数々の書類、数々の苦難を乗り越えてようやく出航しようとしたら、今度はメンバーを港に置き去り。 なんやかんやで無事出航したコン・ティキ号は海流に乗り、貿易風を受け、筏はさしてトラブルなく進んでゆく。

航海中の描写は魚類を主体とした海洋生物についてのこと、また海洋生物対人間がメインで、他の仲間たちとのやりとり、人間同士のやりとりの描写が少ない。 短調に進んでいただけに、航海中盤の

ヘルマンは流れて行く袋を捕まえようとして、思わず足を踏み出して海の中に落ちた。

の一文から始まる、ヘルマンの転落事件は、ずっしりと重かった。

そもそもメンバーが屈曲な男たちすぎる。帆を裂き綱をすべて擦り切るような五日間の嵐の後で、

しかしわれわれ自身と荷物は完全に無疵だった。

と断言できるのすごすぎる。たぶん無疵じゃない。 そして、筏が大きなダメージを受けてようやく、

いまやまったく別の問題が前面に出て来た──航海はどのようにして終わるのだろうか、ということだった。

終着点を決めずに出発していたのか…?

その夜、ベングトはテーブルと椅子が欲しいと言った。寝て、仰向けになったりうつぶせになったりしながら本を読むのはもう飽き飽きしたからだった。それ以外は、彼はわれわれが上陸しそこなったことを喜んでいた。まだ読まない本が三冊残っていたからだった。トルステインは突然林檎を食べたがった。そしてわたし自身は、テキと玉葱のおいしい匂いをハッキリと嗅いで夜中に目を覚ました。しかしそれは汚れたシャツにすぎないことがわかった。

ベングトが持ち込んだ本をちゃんと読んだのかずっと気になってたから、残り3冊になっているのがわかってよかった。 陸地(旅の終わり)が見え、五感が刺激されると、文化的な生活を求め始めるのは人間の常なのか。

誰の命も失うことなく、陸地を発見し、上陸に向けて右往左往するあたりから、物語は再び動き出す。珊瑚の美しい陸にたどり着き、現地のポリネシアンたちと文化交流するくだりは非常に楽しく読んだ。

完全に偶然だけど、マチュピチュ(南米の古代文明)、ガラパゴスイースター島と、多読で読んだ本をなぞるように進んだので、符号を感じた。