【読書409】思い出すと心がざわつく こわれた関係のなおし方

思い出すと心がざわつく こわれた関係のなおし方 (心理療法士イルセ・サンのセラピー・シリーズ)
- 作者:イルセ・サン
- 発売日: 2020/02/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
自分を見つめ直し、相手に歩み寄り、場合によっては必要な距離をとりましょう、という本。
人間は、一生のあいだ、変化しながら成長していくものです。ある人との友情が変質し薄れていく一方で、別の人とのあいだに友情が芽生えたりもします。それはいたって自然なことなのです。
ライフステージの中で、人間関係は変化する。 当然、親密になる人も疎遠になる人もいる。
中には行き違いや意見の相違などから喧嘩別れになってしまい、後悔の残るような人間関係もある。
そんな一度壊れてしまった人間関係を再構築するために、自己を見つめ、自分の本心を表出のさせ、再び歩き出すためのヒントを与えてくれる。
自己に主眼が置かれるため、実践的である一方、せっかく縁切りできた相手がこんなテンションで迫ってきたら鬱陶しいだろうな、と思った。
つまり、精神的に強くて柔軟な側の人間が、たとえ不本意であっても、相手とのあいだに橋を架ける役割を引き受け、もし必要であれば、その橋を渡ってでも相手に会いに行く、ということです。
基本的には、一方(多くの場合、本文にあるような精神的に柔軟な側の人間)が、譲ったり気を使ったりすればいいという考え方が好きではない。
一方に我慢や負担を強いている感じがするし、その側が、我慢してあげている、というスタンスが垣間見れたりすると、なんとなく不愉快な気持ちになる。
ただ場合によっては、このこと自体は仕方ないことなのだろう。 自分自身が歩み寄ることができた場合に、「私は相手より柔軟で強かったのだ」と自己評価を高めるネタにできるなら、次の人間関係に活きると思う。
ただし、あなたが和解しようとしている相手が、精神的、身体的に暴力をふるう人だとすれば、その人の内なる子ども(幼少期から引きずっている記憶や心情、価値観など)や無力感ばかりに目を向けることは、不幸な結果を招きかねません。あなたは、その人とのあいだにきちんと境界線を引くべきであり、どのような暴力も許してはならないのです。
適切に距離を取るべき例としてこのことを明言してくれるのが良い。
自分から距離を取ることに、罪悪感を抱きがちである。
行動力と積極性は強さの表れです。
本書の言うように、行動力が強さであるならば、適切な距離を取るという行動もまた強い側が歩み寄った結果であろう。
相手があなたの求めるような優しさと柔軟性を持ち合わせている人だったら、より強い絆を結べたでしょうが、そうではないのですから、この程度、と割り切って付き合えばいいのです。
人間関係は一方的なものではなく、どちらかが100%悪いということもない。 だから、相手との関係性が悪くなっても、過剰に自分を責める必要はないのだ。
あまりこの手の本は読まないのだけど、目に止まったのは、今の自分には、誰かにこれを明言してもらうことが必要だったからかな、と思った。