【読書426】復活の日
コロナ禍で読みたい過去の名作。
書かれたのが1960年代半ば、舞台が1970年代だから、当時としてはちょっと先の未来を想像したサイエンスフィクション。
後書きによるとコンセプトは細菌戦であるらしい。
火星探査の結果もたらされた病原は、異常な増幅速度、致死率、また侵入後には消えて検出できないという特性から、生物兵器として研究されていた。 病原が流出し、世界を圧巻し、人類が死に絶える過程を描き、また、人類が激減した後の世界での人類の生き残りをかけた決死作戦を描く。
感染後、あまりに早い死(しかも突然死)ゆえに、社会の機能は麻痺していき、対策を進めるマンパワーが失われていく。
日本の首脳部が緊急事態宣言を検討するなど、最近どこかで見たような場面もあり、本作が半世紀も前に書かれたと思うと感心する。
死が世界を包み込み、結局最後に残ったのは、南極に住む1万人ほどの人類であった。
無慈悲に蔓延する死、もたらされる社会不安、暴動は、コロナの蔓延する一部地域では現実になったシナリオだ。
小松左京は、今(未来)を知っていたのではないかとオカルティックな疑惑を持ちたくなってしまう、予言書のような作品だった。
死に瀕してもラジオで講義を流し続けるシーン、なんとなくミストを思い出した。
新型インフルエンザ流行最悪のシナリオを物語調で記した本。 insolble.hatenablog.jp