【読書453】やなせたかし 明日をひらく言葉
- 発売日: 2015/11/27
- メディア: Kindle版
prime reading。
「アンパンマン」の原作者で知られるやなせたかしさんの作品の一説と、エッセイ的な文章を組み合わせて編纂したものなのかな。
おそらく紙の本では見開き2ページで1項目になっているのだろうけど、エッセイ部分が細切れにされてしまい、なんとなくテンポが悪く残念であった。
戦争が終わると、アメリカからスーパーマンというヒーローが登場した。テレビ放送が始まると、月光仮面やウルトラマンなども出てきた。 けれど、彼らは飢えた人を助けに行くことは全然しない。(中略) いろんな兵器が次々と出てきて、ドンドンパチパチと派手に火花を散らす。それがカッコよく見えて興奮するなんて、一種の「戦争賛美」のように思える。子どもたちの潜在意識に悪い影響が残らないかと気になってしまう。 そうした疑問から、本当の正義を行う新しいヒーローを描きたいという気持ちになっていった。
原作者の意図はさておき、アンパンマンはアンパンチでバイキンマンを吹き飛ばす。
「アンパンマンはヒーローだけど、アンパンチはだめだよねー。」と3歳児に突っ込まれたりする。
当時のアンパンマンは、パンを配るおじさんだった。自分でパンを焼いているからマントも焼け焦げだらけだ。顔もハンサムじゃない。空を飛んで戦地に行き、お腹のあたりからアンパンを取り出して子どもたちに配る。でも、国境を超えるとき、未確認飛行物体と間違われて撃ち落とされてしまうというお話だった。
なんでなかなか売れなかったのかが窺えるエピソードだと思った。
「正義を行おうとすれば、自分も深く傷つくものだ。でも、そういう捨て身、献身の心なくして、正義は決して行えない」ということだ。
正義に限らず、みんな色々なものを秤にかけて、何かを捨て、何を選んでいる。
結構面白かったけど、これじゃなくてもいいかなぁ。