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【読書171】0歳児がことばを獲得するとき―行動学からのアプローチ

0歳児がことばを獲得するとき―行動学からのアプローチ 」(正高信男/中公新書)

 

タイトル通り、生まれた子供が言語を獲得していく過程について、心身の両面からまとめられている。

 

月齢の異なる幼児の比較、月齢の同じくらいの幼児の比較に始まり、ヒト以外の霊長類との比較研究、あるいはヒト以外の霊長類同士の比較など、科学的に書かれている。

書かれている内容も、実験結果、その考察、他の知見とバランスが良い。

 

例えば、0歳児はどれぐらい人の声を聞き分けているのかという問題に対して、0歳時を対象とした実験はもちろんだが、同じ霊長類であるサルを用いた実験結果の紹介がある。

母ザルの声が出産してから何日目に区別できるようになったかについて見ると、最も早い子ザルで14日、最も遅いのは41日を要した。(中略)ところが、同じ八頭を受精後何日目に区別できるようになったかという観点から分析すると、最も早い子ザルで190日目、遅い子ザルで202日目となり、差は12日と大幅に短縮されることがわかった。(9ページ)

ヒト、という特殊な対象を扱う以上、できる実験には限度があるが、その限度をカバーするように行われるヒト以外の霊長類研究は、ヒトを理解するうえでも参考になる。

 

この他、人は声帯を震わせることで発音するが、では喉の構造にはどんな差があるのか。

乳児の誤嚥防止を優先したチンパンジー喉から、発音をするための大人型の喉へ、その変化はいつ訪れるのか。

 

まさに人間を扱った科学、霊長類研究であろう。

 

1993年のの発行なので、やや古いのかもしれないが、新説を取り上げているわけではないので、気にせずに読めた。

近くに新生児がいたら、試してみたくなるような内容が多数まとめられている。

 

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