心ゆくまで崖っぷちで読む本

中小企業診断士(登録予定)の読書ブログ

【読書465】黄金の王 白銀の王

だいぶ前からほしい物リストに入れていた本。

黄金の王 白銀の王 (角川文庫)

黄金の王 白銀の王 (角川文庫)

DMMブックス。

兄弟同士の王位争いに端を発する内乱が長く続く国翠に同じ年頃の二人の王があった。 歴史は両者に勝敗もたらし、片方を統べる王、片方を幽閉される王とし、負けた方には迫害の日々を与えたが、天下分け目の戦いでの風向きに次第で、どちらが統べる道も、幽閉される道もあった。

幽閉される王が元服を迎えようという頃、幽閉の丘は襲撃され、統べる王は決断を迫られる。

統べる王は国力を高め国を安定させるためには、私怨を捨て氏族の垣根をなくすことが大事と解く。 統べる王の説得に応じ、自身の名を捨て統べる王の妹を娶り、和平への協力を承諾する幽閉された王。 しかしそれは、苦難の日々、さらなる幽閉の日々の幕開けであった。

仇同士でありながら、義兄弟となり、やがては二人の絆を描く骨太ファンタジー

統べる王は策略に長け、目的のために手段を選ばない苛烈な人物に見せかけて、非常に人間的である。 一方で、幽閉された王は人を惹きつける力を持ちながら、その判断は冷淡である。 真逆の性質が、真逆の環境で育ち、生き、お互いに憎しみ合い、嫉妬しながらも認めあうというのは、こういうことなのか。

二人とも与えられた環境ゆえに、己の性質を殺し、役目を全うしようと生きる。 別の時代であったなら、せめて互いに歪み合わなければならない時代でなかったなら、タイプの異なる二人は、争いの火種か良き盟友のどちらになったのだろう。

タイトルは黄金が先なんだな、と思う。

この手の王宮ものは、最近は女性目線、後宮目線のものばかりだったので、毛色が違ってとても面白かった。 続編は無いようで残念だ。

なんとなく塩野さんの作品に近い気がする。

DMMブックスのセールで買った本の当たり率が高くて嬉しい。 55冊買って、11冊読んでしまった。 やっぱり100冊いっておくべきだったのかなぁ。