【読書020】羆嵐
「羆嵐」(吉村昭/新潮文庫)(参考:wiki「三毛別羆事件」)
本作のモチーフは、「三毛別羆事件」と呼ばれる国内では最も大きな獣害事件。
1915年、大正時代に北海道の三毛別で起きた、ヒグマによる開拓民の殺傷事件です。
最近TVで取り上げられたみたいですね。
私は事件名を聞いてwikiを読んでみたんですが。
wikiの記述なのに非常に臨場感溢れ、読んでていて怖くなってきます。ちょっとした小説みたい。
獣害事件ですので、wikiの記載にもグロテスクな表現があります。苦手な方はご注意下さい。
wikiがおもしろかったのと、先日読んだ「雪の花」の作者である吉村昭さんが本事件をモチーフに一冊書かれているようでしたので購入してみました。
さて、本作、ジャンル的にはドキュメント小説、ノンフィクションなんでしょうけど、ホラー的要素が多分に含まれています。
前半、1/3くらいまではゆっくりと確実に恐怖がつのっていきます。
こんなに怖いのにまだ、あんまりページがすすんでない!みたいな。
吉村さんの淡々とした文章が恐怖を増長させるのに一役、時間がゆっくりすすむ間隔が味わえます。
後半は解決に向けスピード感を増していきます。
でも羆に対する恐怖感は最後まで内包したまま。
すっきりとは終わりません。
長さとしては短編だと思うのですが、非常に満足感のある一冊でした。
吉村さん、はまってしまいそう。
図書館に歴史小説全集があったので一冊借りてきました。