【読書230】めっきらもっきらどぉんどん
「めっきら、もっきら、どおんどん」
妙に耳に残る響き。
音の響きだけは忘れない。意味のある言葉ではないのにもかかわらず、である。
シンプルに言ってしまえば神隠しにあって戻ってくるお話である。
だけど、現実世界に戻ってくる魔法の呪文が「おかあさん」なのもいいし、その歌を二度と思い出せないのもいい。
異世界ファンタジーの要素がたっぷりではないか。
決して可愛くはない、むしろおどろおどろしい絵。
なのに、私の記憶の中では怖い絵本には分類されていなかった。
楽しく遊んでちゃんと帰ってくるからだろうか。
同じ異世界冒険絵本でも「おしいれのぼうけん」は少し怖かった気がする。
「モモちゃんとプー」の、押し入れに閉じ込められてねずみのお嫁さんにされそうになる話も、なんだか怖かった。
考えていくと、基本的に私は異世界へ向かう道中に恐怖を感じていたようだ。
その点本書は、異世界へ向かうスピード感があって、怖いんだけど、ちょっとどきどきが混ざっていて、あっという間で、しかもすぐにおばけ三人が迎えにくるから、怖いという印象が残らなかったのかもしれない。
さて本編に戻ってみると、ももんがよりもキレイな水晶よりも、甘いお餅の木が印象に残っていた。
びろーんとのびるお餅がやわらかそうであまそうで美味しそうで…、昔から食意地がはっていたようだ。