【読書312】ゴーストハント 7 扉を開けて
「ゴーストハント 7 扉を開けて」(小野不由美/幽BOOKS/ひたちなか市立図書館書蔵)
思うにゴーストハントシリーズは、大きく二つに分けられる。学校の怪談、と、館の怪談である。
最終巻である本作は、学校を舞台にした館の怪談、といえるのではないだろうか。
6巻、能登からの帰り道、一行は迷い込んだ長野の山中でダムにぶち当たる。
と、突然、ナルはSPRの解散を宣言するのだ。
付近のキャンプ場に宿を構え、ダムを調査中、今度は地元自治体からSPRへ対して心霊調査の依頼が舞い込む。
調査の対象となるのは廃校となった学校だった。
突然の豪雨に雨宿りのつもりで入り込んだ校舎に閉じ込められる。
1人、また1人とかけていくメンバー。残された者は、違和感を感じながらもそのことに気づけない。
比較的、新しい霊であるが、新しいがゆえだろうか。なんとも悪知恵が働く相手である。
不幸な事故。
助けたかった子供たちの死を目前にしながら、何もできない無力感。
思い入れの強さ、無念さ、そしてなによりも、こうありたかったという幸せへの希望が、彼を凶悪な霊へと変えてしまったという理不尽。
最期に残された麻依は、夢でのナルの導きで彼の救済へと挑む。
と、ここまではいつものゴーストハントであるが、本巻にはもう一つ謎が残されている。
ナルがダムの底に探しているものはなんなのか。そしてナルの正体はなんなのか、である。
麻依の片恋の相手はナルではなく、無意識の世界で自分を導いてくれたユージーンであることが明らかとなる。
だけど、それは本当に、ジーンなんだろうか。
好きだった人が実は双子で、死んだ兄の方だと言われてそんなに簡単に割り切れるものなのかなぁ。
普通に考えて、夢の相手よりも、現実の方が大きい。なんだかちょっと、納得できない思いが残った。