心ゆくまで崖っぷちで読む本

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【読書379】給食のおにいさん

未読本はKindleだけではない。 Kindleの軽めの小説はだいぶ読んでしまったので、紙の本の積読を崩す。2015年夏の帯がついていたから、5年は寝かせてあったらしい。

給食のおにいさん (幻冬舎文庫)

給食のおにいさん (幻冬舎文庫)

職業に貴賎はない。貴賎を作ってしまうの人間側の問題だと思っている。 本書の例では、給食調理員とレストランのシェフは同じ飲食業であっても、目的も過程も違う仕事なだけで、どちらが素晴らしい仕事というわけではないと思う。

美味が正義ではない。おいしいのに拒絶される。

おいしいというのは、味のことではなく、体験のことなんだと思う。 多くの場合、味だけを追求することに価値はない。 味がよくて嫌な気持ちで食べる食事は、おいしいのではなく不味い、味がしない、なのだ。

大筋では嫌なやつの開眼成長ストーリーなんだろう。 学校、子供達ならではの問題や、学校給食にこそ使命を感じる人間、そこまでじゃないパートのおばちゃん。

一方でブラックな環境が如何に人間を壊すかという話にも見える。 一般的に言われるように飲食業界はブラックだ。 加えて主人公は勉強熱心で仕事が生きがいなキャラクターである。

最低でも余暇を楽しめるくらいの余裕がないと、頭は働かないし、感情の制御も悪くない。 主人公が過去に経験したトラブルや人間関係の軋轢は、主人公の未熟さ故だけでなく、激しい労働環境の中で心身共に(無意識に)負担となっていた結果で、主人公の成長がブラック環境から抜け出した結果だと考えると、また違った側面が見える気がする。 そこを履き違えると、飲食の世界に戻ったときに、あっという間に元どおりになってしまうんじゃないかなぁ。

きれいごとの裏にそんな危うさを感じる作品だった。