心ゆくまで崖っぷちで読む本

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【読書430】村田エフェンディ滞土録

村田エフェンディ滞土録 (角川文庫)

村田エフェンディ滞土録 (角川文庫)

村田青年のトルコ滞在記、という体のファンタジー小説

日記というより、その日の場面を切り取って重ねたショートフィルムのようである。 実は、梨木さんってあまり自分としては少女趣味すぎるというか、あまりハマらない作家さんなんだけど、意外楽しめた。

試みに掘って出てきたものが、年代や文明の特定出来るものであればいいのだが、わけの分からないものもたくさん出てくる。歴史上に名を残すこともなく他の部族に滅ぼされてしまった小さな部族の生活の跡が、何世代にも亘ってごろごろと埋まっているんだ。で、そういう生活のものとは明らかに別種の、祭壇のようにしっかりした石板などが出てくることもある。一つの部族が存在したということは、その部族の神も存在したということだから。今はもう、誰もその名を知らず、崇拝することもない、そういう神々の祭壇──今となっては、墓──は、まとめて集められたが、政府の用意した収蔵場所にはとても入りきれない。かといって捨て置くにはしっかりとした立派な墓石だ。そこで政府出入りの業者に建築資材として払い下げられたというわけだ。

イスタンブールの地下宮殿「バシリカ・シスタン 」にいたメデューサを彷彿とさせる。 異教の神を祀った結果の石材を、建築資材にしてしまうのは脈々と続くお家芸なんだろうか。

含蓄ある言葉が多い。

宗教にの差は実は致命的(信仰対象が、嫌悪対象になったりする)だし、文化の差も大きい。 政治的な不安定さも含め、関係性に危うさをはらむからこその、きらめきを感じる。 みんなが大人で、神経を使ってバランスを取っている感じだ。

最終章の年老いた鸚鵡が象徴するように、これは留学青年たちの青春物語なのだろう。 女性に人気なのも頷ける。

トルコ近代史研究的にはどの程度のリアリティなんだろうか。 Kindle版で読んだのだけど、巻末に参考文献が載っていなかったのが気になった。

日土関係における二大イベント。エルトゥルール号とイラク戦争時の邦人救出のお話。 insolble.hatenablog.jp

家守奇譚も昔読んでいた。 insolble.hatenablog.jp

試験勉強もぼちぼち佳境。 なんとなく物語が読みたくなる。

頭の切り替えが必要ということか。