【読書377】実況・料理生物学 (阪大リーブル030)
相変わらず挫折本を片づけて、未読本を減らす週間。 どうしても難しいものや時間がかかるものが残るので、そろそろ辛くなってきている。
半分程読んで放置されていた本書は、大学の学部生を対象にした講義(実習)を下敷きにした料理生物学の本である。
- 作者:小倉明彦
- 発売日: 2011/10/14
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
非常によく言われることだが、料理は化学である。調理上の様々な工程の目的を考えると、熱抽出、タンパク質の凝固や塩析、乳化などの化学反応があふれている。 調理対象となる素材は基本的に生物である。食べる人間も生物だ。本書では実習を通じて調理によって生じる化学反応や出来上がった料理がもたらす生理学的作用(食べた相手への影響)などを論じる。
後書きにあるが、そもそもが、決して知識の少なくない阪大生を相手に、
自分の頭と体に納め直すには、そこに実物があり、自分が直接それに触れ、感じる再学習が必要である。
というコンセプトでなされた講義だけあって、大学だけでなく、もっと基礎教育、それこそ理科への興味を高める段階でも、参考になるんじゃないかな。 化学はすごく身近なところにある、というのがよくわかる。
お茶の「発酵」というのは、お酒や醤油の「発酵」とは意味が違う。酵母や乳酸菌などの微生物の作用ではなくて、茶葉の中での自発的な化学反応です。
恥ずかしながら、知らなかった。 言われてみればその通りなんだけど、お茶の発酵はポリフェノールの酸化による重合だそうです。 なお、乳酸発酵させる珍しいお茶もあるとか。調べてみたらAmazonにもあったけど、なかなか高価。
ちなみに本書によると、世界三大クサ食品はキャビック、シュールストレミング、クサヤらしい。 クサヤの順位が高すぎないか? キャビックについては下記に結構詳しい言及があったので、参考にどうぞ。 insolble.hatenablog.jp