心ゆくまで崖っぷちで読む本

中小企業診断士(登録予定)の読書ブログ

[多読]Such Small Hands (English Edition)

Such Small Hands (English Edition)

Such Small Hands (English Edition)

多読59冊目。

オリジナルはスペイン語なのかな。 英語に翻訳された別言語の話を読むのって、なんとなく妙な感じもする。 今年に入って買った本は割と消化しているのだけど、試験勉強をしていたら洋書が溜まってしまったので少し気合を入れて消化することにした。

事故で両親を失い自身も大怪我を負った少女Marina。 父母の死を知らされても泣き叫ぶことはなく、どこか淡々と入院生活を送る。 父母亡き後の生活の場として与えられたのは孤児院だった。

Marinaが三人称で語られるパートと、孤児院少女たちの目線で語られるパートが交互に繰り返され、物語が進んでいく。 用いられる人称の差もあり、孤児院の少女たちとMarinaの感情の温度差が非常に大きく感じられる。

weで語られる思考は、一人が孤児たちの総意として語っているようにも、孤児たちの漠然とした総意が人格を持つようにも感じられて、なんとなく怖い。

並列、仮定の表現が多く、単語も長めのものが多い。 私のレベルではかなり難しく感じ、意味もよく取れなかったのだけど、そのせいで余計に主人公の逡巡やどん詰まり感が強調されているように感じた。 長くはないのでなんとか読み切れた。

全体に退廃的というか、官能的というか…、そんな印象があるのは、雨の塔のイメージで補完しながら読んだせいかしら。 insolble.hatenablog.jp

書評を書くのにAmazonで「恐るべき子供たち (角川文庫)」を検索したところ、同ページ内にヒットしていた作者さんの本。

きらめく共和国

きらめく共和国

ビビッドな表紙が可愛くて、でも邦訳買うには少し高いと感じたので、まずはGoogleで評判を探しところこの作家さんをすごく推しているブログにヒット。紹介されていた何冊かのうち英語のものを選んで読むことにした。

薄い縁でも掴むかどうかを決めるのはいつも自分である。

一人称が「we」なので、なんとなく悪童日記を思い出した。 あんなに悪意的ではないけど、人間の本性としての無垢な悪意という意味では似たようなものかもしれない。

悪童日記

悪童日記

[多読]Where Is the White House? (Where Is?) (English Edition)

58冊目。Where is のシリーズより、いつものStine Meganさん。 ホワイトハウスの成り立ちや構造、歴史はもとより、住人(主に大統領自身とその家族)のやりたい放題ぷりを紹介する一冊。 改装は序の口で、スケートに山羊にカートを引かせたり。

官邸に(小さな子どもを含む)家族で住むというのは、こういうことなんだな、と思う。

ちなみに、食事やパーティー、クリーニングなどはきちんとお金は払わなければならないとのことで、

Many presidents are surprised and a little bit upset when they get the first monthly bill.

まぁ、急に請求書だけきたらびっくりするよね。

個人的には動物関連のエピソードが好きである。

前庭で羊を飼って、毛を赤十字へ寄付した例。

(President Woodrow Wilson let a flock of sheep graze there during World War I, so the government wouldn’t have to pay to mow the lawn. And he auctioned off the wool to raise money for the Red Cross.)

ハンドバッグにペットの蛇を忍ばせてパーティーに行った例。

His eldest daughter, Alice, liked snakes. She had a green snake named Emily Spinach. Alice took it to parties in her purse!

とんだサプライズである。

The tables are always set with the most beautiful china at these dinners.

chinaって磁器だよね?とちょっと自信なかったけど、磁器であってた。 知識が読解を助けるパターン。

ビッグバンセオリー後の海外ドラマとして、White Houseを見ているのだけど、間取りとか歴史とか色々勉強になった。あのシーンのあの部屋はそういうことか、という。

【読書441】ゼロからスタート! 金城順之介の中小企業診断士1冊目の教科書

ゼロからスタートシリーズがKindle半額セールになっていたのでついつい購入してしまった。 中小企業診断士の教科書というには、内容が薄すぎる気がするが、社会人としての基本的な知識を補完してくれて、非常に良い。 新入社員というよりは、もう少し上の層、中堅社員の必読書とでも言おうか。

製造業ベースの話になってしまうが、実務の背景「なぜそうするのか?」「なぜそれがあるのか?」の理論的な部分が分かる。

知っている話もちらほら。SWOTとか、単純にツールとして知っているものの位置付けや使い方がわかると嬉しい。

よく分からないところには付箋をして、後で熟考するか別の資料を探すとして、一読するのに2時間強と言ったところだろうか。 勉強開始の最初の10時間をというコンセプトを思うと非常によいバランスの一冊なのではないだろうか。 これのみで受かるというものではないし、勉強を進めていけば印象が変わるかもしれない。

以前紹介した「合格へのはじめの一歩」よりもこちらの方が読みやすかった気がする。 はじめの一歩を読んで、基礎知識が少しは入っていたせいだろうか。 はじめの一歩では前半にあった財務会計が、最終章に設定されているのも親切である。

insolble.hatenablog.jp

結局、社労士と簿記も買った。

旧人類としては、Kindleで資格勉強するのはまだ辛いのだけど、Kindleならば机に向かわずとも読むことができるので、時間や場所を選ばないというメリットはある。

危険物が体感ダメだったダメージからそろそろ回復して勉強を再開しようと思う。 (実は年末にスピテキの運営管理をやっていたのだけど、半分で止まっている。)

【読書440】恐るべき子供たち (角川文庫)

恐るべき子供たち (角川文庫)

恐るべき子供たち (角川文庫)

フランスの詩人コクトーの小説。 邦訳は何本か出ているようで、読んだのは角川文庫から出ている東郷青児さん訳のもの。訳としては古いのかもしれないが、原作の出版年が1929年に対し翻訳が1930年、渡欧経験がありフランスの画会との交流を経験しているとのことで、当時の空気感をよく知る人物による翻訳といえるのだろう。

バスタイム読書で読み始めたけれど、結局その日のうちに読み切った。

病弱な美少年ポール、その姉エリザベート、ポールの同窓生でポールに懸想するジェラールの三人の孤児。 後に働き始めたエリザベートの先輩であり三人の中に溶け込むように合流した少女アガート。

どの人物を軸と捉えるかで受け止め方が変わりそうな、読むごとに違った印象になりそうな余地のある小説であった。

ポールとエリザベートを中心とした世界で、添え物的に振り回されるジェラールとアガートという印象が強い。 ポールとエリザベートの世界は破滅的、退廃的なものしかなく、それが全てであるが、おそらくジェラールはそうではないし、アガートもまた然りである。

姉弟への影響の大きさでは、ただ2場面、最初と最初にしか出演せず、ポールとは直接会話することすらないダルジェロに軍配が上がる。

エリザベートはその容姿でアメリカ人富豪のミカエルに求婚され結婚する。 そもそも姉弟が医者や誰かから支援を受けて生き延びたのも、おそらくはその美しい容姿故なのだろう。美貌と保護が1:1で結びつく感じが即物的でたまらない。

ミカエルは死に、エリザベートは莫大な遺産を相続し、姉弟の分離の機会は瞬く間に失われる。 例えばミカエルが死なぬ世界線では、二人にはどんな結末があっただろうか。

アガートがメンバーに加わらなければ、エリザベートが働きにでなければ、ダルジェロの雪玉がポールの胸に当たらなければ、ジェラールがポールに懸想しなければ。 ターニングポイントとなる場面で様々なifを重ねて想像すると、もっと酷い結末、もっと早い段階での破滅にしか辿りつかない気がする。

描かれた破滅が、最善に思えてしまうのだから、よくできた小説だと思った。

コクトー繋がり。

【読書439】増補 ゾウの鼻はなぜ長い: 知れば知るほど面白い 動物のふしぎ33

似た動物だけど何が違うの?その特徴は何のため?どうやって使うの?

形の特徴が分かれば生活がわかる。生活がわかれば、住む場所がわかる。 名前特徴も分かるくらいには身近な動物たちのちょっとした豆知識を集めたエッセイ集。

本書を読めば動物園がいまより少し楽しくなるかもしれない。

動物の興味深さや面白さは、大人だからこそわかるのである。ある程度の人生経験があるがゆえに他の動物の生き方が理解でき、動物が生きのびるための手段を生まれながらに備えていることの不思議さと神秘を感じることができるからだ。

別に大人だから、子供だからって分けなくてもいいんじゃないかな、と思う。 大人には大人の理解があって、子供には子供の理解がある。 それは違うかもしれないけどオーバーラップもしている。

みんながのんびりと動物園を楽しめる世の中なのはいいことだと思う。

いつ買ったのか覚えていない文庫をバスタイム。 シャワーで済ませる日も多いが、寒い日はきちんとバスタブに湯を張って入ると、入眠しやすさが違う。

似た感じかな。 insolble.hatenablog.jp

アニマルハンターの動物調達のお話も面白かった。 insolble.hatenablog.jp