[多読]Fuzzy Mad
多読32冊目。リハビリに何がいいか迷って、安定のサッカー作品にすることにした。
新規感染症をテーマにしたSFサスペンス。 サッカー作品は何冊か読んだけど、今のところこれが一番好きかも。
- 作者:Sachar, Louis
- 発売日: 2016/08/11
- メディア: ペーパーバック
いじめっ子のChad、いじめられっ子のMarshall、Marshallのうちの近所に住んでていつも一緒に登下校しているTamaya。 Chadに襲われるのを避けるため、Marshallが普段と違う近道、立ち入り禁止の森を抜けて下校しようとしたことで、事件は始まる。
以下、ネタバレあり。
On one side of Marshall sat one group. On his other side sat a different group. Between these two groups, Marshall silently ate alone.
サッカーって、いわゆる「ボッチ」を表現するの凄い上手だよね。他の作品を読んだ時も思ったので、サッカーは自分の中でボッチ表現の名手という位置づけに。
子どもたちの動きを主軸に、定期的に大人達のレポートが挟まれており、読み手の不安を煽る。
Not bacteria. Slime mold. People always confuse the two. Both are microscopic, but they are really quite different.
専門家と素人の間であるあるな感じで、クスッとしてしまった。それは違うの!混同しないで!的な。用語にこだわりを発揮するの好き。
Chadを避けるため、森の中をずんずん進むMarshallに半泣きでついてゆくTamaya。 しかし結局はChadに捕まり、絶対絶命の時、Tamayaはその場にあった泥を投げつけた。 退散するChad。危機一髪、 自分の手、泥に触った部分に赤い傷があるのに気付いた。
翌朝、恐る恐る登校する2人。授業中のMarshallのクラスに校長がやってきてChadが行方不明になっていることを告げる。黙り込むMarshall。
一方で、Tamayaは、昨日の傷から出血し治療を受けていた。 なんとなく、症状の出方が感染症より薬害ぽい。 ランチタイムに漏れ聞こえた雑談から、Chadが行方不明になったことを知る。
He was a bad kid, and bad kids do bad things, and then bad things happen to them.
Chadは誰から見ても自業自得ってやつ…。
Tamayaは自分の投げつけた泥がChadの顔面にヒットしたことに思い当たり、Marshallに相談するが、Marshallは「誰にもいうな!」と冷たくTamayaを追い返す。
She didn’t want to get Marshall in trouble, but somebody had to do something!
好きな男子が嫌がると分かっていても、誰かがやらねばなTamaya強い。気弱な男子と勝気な女子って日本でも定型パターンの一つだよね。「wonder」もSummerが強可愛かった。 別に勝気女子がツボってわけでもないんだけど、英語で読んでるとなんだか凄く可愛い感じがする。
結局、Tamayaは独り、Chadを探しに森へと向かうのであった。
One week after Tamaya Dhilwaddi went into the woods, more than five hundred people showed signs of the rash, including many of her classmates.
彼女の勇気ある行動が、のちにこの様に評されることが、先に語られるの、とても怖い。
TamayaがChadを探しに行ったことに気づいたMarshallもまた森に向かう。
“Chad’s been picking on Marshall all year,” Andy had said. “For no reason.” They all knew—Andy, Laura, Cody, everybody. So why didn’t anyone do anything?
これを自覚するシーンはやだなぁ。 現実を言語化して認めるのは辛い。
なんやかんやでChadを見つけ、Tamayaを探しにきたMarshallとも合流した3人。 泥で視力をなくしたChadと泥に溺れたTamayaの2人をかかえるように歩くMarshall。ChadのMarshallいじめの話になる。 いじめのきっかけになったと思っている出来事についてChadに謝るMarshall。 しかし、Chadはそれを否定して、Marshallをいじめた本当の理由を語る。
You want to know what my dad said? ‘Why should we celebrate the day you were born?’
Tamayaが怒るように、いじめられる側に問題なんてなかった。Chadをいじめに駆り立てた現実は苦しい。 Chadは理不尽だけど、内観できるキャラクターで面白い。
33章以降、3人が救出された後の世界は、あっという間に病気の蔓延でロックダウンされて、Tamaya自身も病院に隔離されてしまう。Marshallは回復したようだけど、Chadがどうなったのかはわからない。 重苦しい日々の中、治療の糸口となる酵素が見つかり、夢現のまま治療を受けながら隔離され続けるTamaya。 視力が戻らないなりに、病室での生活にも慣れてきた頃、Tamayaは夢を見る。 夢から醒めたTamayaには視力が戻っていた。
時を同じくして街に雪がふり、感染症はあっけなく収束を迎える。
37章のChadの反応のニュアンスがいまいち分からなくて悔しい。 とりあえずChadが生きてて良かった。
pandemicとepidemicの違いってなんだろう?と思って調べたけど、pandemicの方が範囲が広い感じかな? 日本語だとなんとなくパンデミックだけど、epidemicの方が狭域な分だけ使いやすそう。
よくよく考えるとTamayaは完全に巻き込まれ被害だよなー。 ChadとMarshallの因縁においては第三者なTamayaをメインに据えることで全体のバランス取ってるのかな。
感染症があっさりやっつけられすぎて、ご都合主義感はあるけど…。 コロナ自粛のタイミングで読むと、コロナもこれくらいあっさりやっつけられたらいいのに、という気持ちになりました。
内容的には小学校高学年くらいなのかな? 日本語版もでてるようなので、コロナを経験した今こそ読んでほしい。