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【読書396】世界最終戦争の夢 (創元SF文庫)

世界最終戦争の夢 (創元SF文庫)

世界最終戦争の夢 (創元SF文庫)

SF古典の大御所ウェルズ。 ここ1ヶ月くらい気が向くと一話ずつ読んでた。短編集は少しずつ長く楽しむことができてよい。

収録は以下。

「アリの帝国」 「森の中の宝」 「めずらしい蘭の花が咲く」 「海からの襲撃者」 「盲人の国」 「故エルヴシャム氏の物語」 「ダチョウの売買」 「赤むらさきのキノコ」 「剥製師の手柄話」 「「最後のらっぱ」の物語」 「世界最終戦争の夢」 「クモの谷」

12作もあるのに、印象に残ってた作品が多い。 一番は「盲人の国」なんだけど…。

盲人の国、は眼病から視力をなくし、視力がないことが前提として文化や生活が作られた国に、視力のある人間が迷い込むお話。 視力がないながら、平穏に暮らす様子は、まさに異世界。 一つの感覚が失われて得られる調和。 「ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)」もこういった古典の影響を受けているのかなぁと思った。

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全体にはバイオ系が多いのかな。 アリの帝国、めずらしい蘭の花が咲く、のように突然変異した生き物、既存だけど知られていなかった危険生物を扱った作品が目立つ。 赤紫のきのこ、や表題作の最終戦争の夢は、精神世界やトランス状態と現実世界。 ダチョウの売買はどことなく星新一的なショートストーリー。

なんというか…、現代SFの全てのサブジャンルを作ったと言われるのも頷ける。 いつか原書で読みたい。

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