心ゆくまで崖っぷちで読む本

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【読書358】無人島に生きる十六人

Kindleで積んでる本が100冊以上あることが判明したので、積読消費月間。 …と言いつつ、また買ってしまうのだが(減らない)。 レベル感が合わない洋書や既読本で気に入った本のKindle再購入なんかもあるけど、80冊くらいまで頑張りたい。

無人島に生きる十六人 (新潮文庫)

無人島に生きる十六人 (新潮文庫)

大好き遭難もの。 明治31年。漁業調査のため東京大川口を出港した帆船龍睡丸。錨を失い飲料水のタンクが故障し、なんとか辿り着いたホノルルに修繕のために碇泊した後、再度島伝に再度日本を目指す。途中、暗礁に乗り上げ船を失い、伝馬船と幾ばくかの荷物とともに無人島にたどり着いた。

よくある漂流物(?)と大きく違うのは、嵐による座礁ではなく、風に流された結果の座礁であり、難破とはいえ荷物を運び出す時間があったこと。その意味では南極で船を失い全員帰還を果たしたシャクルトンを彷彿とさせる。場所が極地ではないという点で大きく恵まれた難破であろう。

全体は船長であったに中川より語られた話として進む。 幅広い年齢層、小笠原帰化人を含むバラエティに富んだメンバーたちを取りまとめ、無人島生活を営む上で、どのように考え行動したか。冒険よりもチームマネジメントやリーダーシップの話がメインのように読めた。 中川という人はかなりリスクヘッジの思考が強い人で、長期戦(冬越え)を見越してまず服を脱がせる(衣類を温存)、あざらしはギリギリまで触らずにとっておく、夜の見張り番は年配者、島で葡萄を発見しても、安全性が担保できないうちは決して食べようとしない…と、まぁ、通常の遭難ものでは珍しいほど警戒心の強い人だ。 そうやって先手を打って行動する一方で、延々と自分のチームを褒める。おそらく小さなトラブル、小競り合いは発生していると思うのだが、そういったものには触れない。

当番や雨の日学習などでメリハリのある生活をさせるように努めるのはシャクルトンとも共通か。二年間の休暇十五少年漂流記)にも似たようなシーンが描かれていた気がする。

本書における学習は年配者が教師役でなされるが、その内容が多岐にわたっているのも興味深い。 船員に小笠原諸島帰化人がおり、英会話の時間までも設定されている。

この帰化人である小笠原老人が茶話会で語った内容が好きだ。

「おとうさん、白くまをとってもいい」 と聞いたら、おとうさんは、 「鉄砲でうったり、銛でついてはいけない。いけどりにするならいい」 といった。まだ少年のおいらに、――くまがりなんかおまえにはできないよ。そんなあぶないことをするな――という、ありがたい親心が、今ではよくわかる。だが、そのじぶんには、親のありがたさなんぞは、気がつかない。 「おとうさんは、ぼくの勇気をためすのだ。鯨よりは、ずっとちっぽけな白くまだ。生けどりにできないことはない。――よし、やるぞ」

かなり余力を残して救出されたので、このチームで遭難期間がもっと長くなったらどうなっていったのか、みてみたかった。