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【読書422】毒 サリン、VX、生物兵器 (角川新書)

毒性学の権威による、化学兵器生物兵器に関する一般向けの解説書で全体にあっさりしている。作用機作や歴史の解説は薄い。

注目すべきは各国での対生物兵器防御機構の備えや、対コロナの各国対応についてのコメント、そして何より、アメリ同時多発テロ時代の炭疽菌テロ事件の真相であろう。

胞子形成により安定する炭疽菌は理想的な生物兵器といわれる。 炭疽菌テロ事件の際には、封筒に入れられ、ターゲットに配送された。

炭疽菌は変異が少なく、99%の塩基配列は同じである。しかし、残り1%のDNAの中に約60個の異なった配列があり、それらの配列に応じて「一塩基多型」や「タンデムリピート」などと呼ばれる。

このことから、炭疽菌自体から、その株がどこに由来するのかを特定することができるという。 結論として、使用されていた株は、アメリカ内部で分離され世界中に存在するエームス菌株であった。

菌株の特定、一度は白紙に戻った調査委員会、数年の時を経て捜査線上に上がったのは、アメリカ陸軍で炭疽菌ワクチンを担当していた研究者である。 最終的には被疑者死亡となりクローズとなったが、予想された反抗動機も研究予算の少なさにあの当時想像したもにからはかけ離れた

コロナの生物兵器説には懐疑的であるが、漏洩事件の最悪の結果という見方はできる。

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